2013年4月21日日曜日

舟を編む



今年は魅力的に感じる邦画に出会えてない中で、唯一期待していた作品。
「川の底からこんにちわ」の石井裕也監督。
「あぜみちのダンディ」「ハラがコレなんで」も見てないんですけど
今日をきっかけに後追いでチェックしたいすね。
そんなことは置いといて、かなり好きでした。
いかんせん「言葉」を取り扱う映画が大好物なボクにとっては
もうたまらん!って感じです。

松田龍平が辞書(舟)を作る(編む)話と、宮﨑あおいとの恋物語の2本柱。
ですが、後者は物語上、機能性はかなり低くて
前者の辞書作りの話がほとんど占める。
正直辞書なんて、大学のドイツ語の授業で母親のを使ったくらい。
それ以来、触れてもいません。
仕事で英語の意味が分からなかったり、専門的な知識で分からないことあれば
インターネットで調べちゃうし。
でも、最近「Wikipediaに書いているから」とか
「Yahoo知恵袋に書いているから」とかを論拠にしてる人みると
なんか違うよなぁと。(全然ボクもするんですけどw)
こんなこと思っていたタイミングだったので、余計に響きました。
映画の好き嫌い抜きで、見終わったあと
確実に辞書が欲しくなることは間違いないです。
日本語の持つ魅力に溢れた映画。
特に好感を持ったのは、紙の辞書の魅力をデジタルと対比しないで
描ききっているところだと思いました。
このテーマなら、アナログvsデジタルの二項対立にしちゃえば
簡単にアナログの魅力が浮かび上がってくると思うんです。
でも、映画内で辞書作成の行程、風景を示していくことで
紙の辞書が持つ純粋な魅力があぶり出されてくるんです。
辞書作るのって10年レベルの時間スケールだってことが映画で紹介されてて。
てっきり完成したカタルシスで終わるかと思いきや
ある出来事で、それが宙に浮いたような状態になるんです。
辞書作りって、完成したらそれで終わりって訳じゃないんですね。
改訂を重ね続けて、ブラッシュアップしていく。
だから、安易にカタルシスを感じさせなない
「まだ航海は始まったばかり」という気持ちを抱かせる。
この点はかなり好感を持ちました。

宮崎葵との恋物語は新明解国語辞典に載っている
「恋」の語釈を説明するためのストーリーやん!と思いました。
大したナニがあるわけではないですが、宮﨑あおいは5億点です。
あとキャスティングもバツグン。
オダギリジョー、小林薫はいわずもがな。
とくにおばちゃんライン。
石井監督のおばちゃんキャスティング好きです。

たぶん、この作品を嫌いな人も一定数いると思います。
物語全体が漂白されているように思えるから。
きれいごとが多くて、ホントの辞書作りは
もっと泥臭いものなんだろうけど、その描写が少なかったかも…
それに該当するのが学生バイト集めたシーンなんだろうけど
彼らの感じがなんか好きになれなかった。。。
そもそも辞書自体が舟と一緒で一ヶ所でも抜けがあると
舟が沈む=辞書として機能しないから
物語全体も整った方向になるのは致し方ないとも思います。

原作は本日買いましたので、読み終わったら追記するかも。
あと国語辞書も買おうと思います。日本語、おもしれー!

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