是枝監督作品にやられまくっているので、期待値は相当高まってましたが
それははるかに上回る作品でした。。。
予告編は物語のあらすじと良い部分の切り貼りなので
感動作っぽく見えますが、それよりも「家族」とは?
「親」とは?「子」とは?というところを
非常に切り詰めて、描いています。
これまでも「誰も知らない」を筆頭に
「家族」をテーマにしてきた作品が多いですが
今回は言い訳、ロジックのきかない「血」の話。
まるで解けないパズルを2時間かけて解かされているような…
それを見ながら、一緒に考えさせられる映画でした。
福山×尾野とリリー×真木がそれぞれ夫婦で
その子どもが取り違えられていたという話。
福山はエリートサラリーマンで、父親としての威厳を保っている。
冒頭で幼稚園受験から始まり、都内の高層マンションに住んでいて
幸せそうな家族像が見せられる。
そこから出生時の子どもの取り違いが発覚する。
子どもはすでに6歳。明らかに意思がある年齢。
簡単に取り替えて、はい終わり。という訳にはならない。
血のつながりを優先しますか?
それとも、これまで過ごしてきた時間を優先しますか?
という問題になる。
この2つの家族は非常に対照的で
リリー×真木は街の電気屋で貧しい。
服装とかも福山×尾野がモノトーンなのに対して
リリー×真木は原色ガンガン。それは食事シーンも同様。
福山雅治目線で終始物語が進行しますが
彼は父として、さらにはヒトとして
自分の価値観を強烈に持っていて、子どもにも押しつけがち。
そして「血」のつながりに重きをおいている。
そのカウンターとしてのリリーはフラフラしてて
自分の確固たる価値観はないけど、子ども目線になれる。
どちらかといえば「時間」に重きをおいている。
それぞれの家族の色々な背景を見ていくうちに、
いったい子どもにとって
何が幸せなんだろうかという問いが頭の中を走り続ける。
大人になった今では高層マンションなりがstatusにも思えますが
子どもにとっては自分と遊んでくれるとか
目で見て明らかにわかる凄さ(オモチャ直すとか)を持っている
大人のほうが良く思えるのは当然な訳で。
どっちが正しいとかない訳ですよ。
それぞれの価値観にゆだねられてるから。
物語上では福山が人の気持ちの分からない役回りを担っているけど
それだって、いざ自分が彼の立場になったときに
どう振る舞えるのか?とずっと考えていました。
前述したとおり、親も対照的なんですが
その子どもも対照的。(それは当然といえば当然な話ですが)
福山雅治のバックボーンも明らかになり、辛い気持ちになり、
それぞれの子どもの行動をきっかけに「父になる」のです。
(カメラのギミックのところは号泣メーン!)
なんといってもクライマックスが本作の見所です。
福山雅治が道を挟んで子どもに語りかける。
あんだけ意固地なやつが初めて見せる「父」の姿。
見終わったあと、語り合える良い映画!
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