2013年10月2日水曜日

クロニクル



都心限定2週間上映と聞いて、映画の日に。
宇多丸師匠、町山さん、映画秘宝など
軒並み好評価だったので、期待して見ました。
むちゃくちゃオモシロかったです。
「プロジェクト X」のSF版といった印象。
勿論、手持ちカメラを使っているという手法的なこともそうですが
ガキの持つルサンチマンから産まれるインフレショーンの
行き着く先は?といったお題目が似ています。
その結果は異なるけれど…

アメリカの高校生3人が主役で、ある日超能力を手にする話。
これだけ聞くと、ありきたりな話のように思えるけど
撮り方、話の進め方が上手いので、とてもオモシロい。

この3人は非常に対照的で、NERD,Jocks,普通のやつ。
NERDがカメラを購入して、日常を常に撮影する生活を始める。
観客は彼の撮影した映像を映画として見させられる。
あることをきっかけに超能力を身につけてしまう訳ですが
それが手持ちカメラで見せられるので、とてもリアルに見える。
しかも、その超能力のリアリティがほどよい感じ。
なおかつ、劇中の彼らの台詞にもありましたが
まるで筋トレのように徐々に能力の活用を覚えていく。
そのトレーニング兼パワーの披露をかねた前半は
アホなことばっかりやってるので、笑っちゃいました。
スカートめくりとかぬいぐるみを動かして子どもをビビらせるとか
駐車場の車を別のところに移動しちゃうとか。
空を飛べるようにもなるんですが、その発想もFRESHで
なるほどな〜と感心していました。
本来であれば、接点のない3人が超能力を通じて
仲睦まじく、遊んでいる姿は微笑ましいし。
そして、NERDは学校の出し物大会(?)で超能力を披露し
これまで虐げられてきたのが嘘のように
ヒーローとなり、パーティーでちやほやされる。
この辺がまさにプロジェクトXっぽい。
先に述べたとおり、ここでNERDが失態やらかしちゃって
ルサンチマンを抱えて終わる。
ここから孤独を深めていく。
もともと学校にほとんど友達もいないし
父親は飲んだくれ、母親は病気という苦しい状況で
生きてきた彼は間違った使い方で超能力を駆使し始める。
そして極限まで追い込まれた結果、暴走しちゃう。
ここも見せ場で、
ラストまでは色んなギミックでオモシロかったんですが
ラストは街中で超能力ドンパチ!パシフィック・リムばりです。
しかも、その映像を街中にあるカメラのショットを
繋げた形で見せてくれる。相当FRESHでした。
この演出だけに限らず、本作は映画の「視点」というものを
認識せざるを得ない作りで、それを超能力使って
1人称→3人称に切り替えたりするのも上手いなーと思いました。
しかも、それが主人公の心情を表すのにも一役買っている。
最後は切ない結末でしたが、前半のアホな感じとの対比で
良かったと思います。

監督は「AKIRA」に影響受けて、本作を作ったらしいですが
「AKIRA」を読んだことも見たこともないので
これを機に読んでみます。

リムみたいなお金かけまくってできる映像もおもしろいけど
少しアイデアを出して、FRESHに見せる映画も最高です。

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