2013年12月8日日曜日

キャプテン・フィリップス



何回予告編見たか分からないくらい見て、
全然期待してなかったけど、周りの評価が良かったので見ました。
予告編のなにが嫌だったかといえば、
「唯一の救いは家族への手紙だったぁ〜」のくだりが
とてもイライラしたからです。
でも実際見てみると、家族云々よりも
相当solidなハイジャックもので、かなり好きでした。
監督はポール・グリーングラスという人。
ユナイテッド93は見ましたが、それ以来。
あれも実話ベースですが、今回も実話ベース。
トム・ハンクス演じる船長の搭乗する貨物船がソマリア沖で
海賊に襲撃を受けて、ハイジャックされる話。
それだけと言ってしまえば、それだけなんですが、
もう超ハラハラするんですねーこれが!
トムが自宅から出発するシーンから始まるんですが、
そこで彼は奥さんと激化する競争社会で、
息子が生きていけるかどうか心配する。
そのあと海賊たちのメンバー選抜がされるシーンが描かれて、
本質的な部分ではどこの世界も変わらないことが分かる。
つまり、弱い者は淘汰されてしまう世界。
これは物語全体のテーマでもあります。

1回目の海賊からの襲撃はなんとか乗り切ったものの、
2回目で船に乗り込まれちゃう。ここが最初の見せ場。
アホみたいにデカい貨物船 vs ボロボロのモータボート
「まさか負ける訳ないよ」という油断に対する、
海賊たちの異常なまでのガッツ。
なにも恐れない気持ちのパワーが伝わってきます。
舵の切り替え、速度アップ vs ハシゴかかる/かからない…
かかったー!的な盛り上げ方はホントにオモシロい。
船を乗っ取られたあとも、船のギミックを生かした
一進一退の攻防、駆け引き。全く飽きない。
結局、貨物船は乗っ取れず、トム・ハンクスが人質にとられて、
救命ボートでソマリアを目指すことになる。
ここからは密室サスペンス要素もありーの、
ネゴシエートサスペンスとして、オモシロくなってくる。
特にここから海賊たちの背景や内面が見えてきます。
当然、海賊という行為自体は許されないことだけど、
彼らが生きていくためには必要で…という
こちらの一方的な論理で片付かないように思えてくる。
完全に「悪」として描ききることもできたと思いますが、
このバランスは素晴らしいなーと思いました。
そして、トム・ハンクスを救出するため、アメリカ海軍も登場。
ここは漢なら、アガらざるを得ないシーンの連続。
海賊とのネゴは勿論のこと、救出作戦のひとつひとつが超オモシロい。
アメリカ海軍があまりに圧倒的であることを
頭では分かっているけど、引き返せない海賊たちの意地。
このぶつかり合いがひたすらスクリーンで繰り返されます。
圧巻なのはラスト。トム・ハンクスの慟哭シーンは凄まじい!
直接語る訳ではなく、助かった安堵の気持ちに加えて、
まだ若い子達が無惨にも殺された虚しさ。
様々な感情が入り乱れたこの叫びはホントに圧巻でした。
あんだけ家族って宣伝で言ってたから、
紋切り型で終わるのかと思いきや…
安易な正義主義ではない終わり方でした。
とてもおもしろかったので、ソマリアのこと勉強しようと思います。

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