2014年2月11日火曜日

新しき世界



大阪に帰ってきたタイミングで、隙間の時間を見つけて鑑賞。
町山さん、ウタマルさんも押してましたので、必見と思いつつ。
いわゆる潜入捜査ものなんだけど、全体に漂うノワール感、
これまでの潜入ものと異なる展開や、
落とし方がFRESHで面白かったです。
韓国にあるヤクザ組織のボスが死んでしまって、
その跡継ぎ争いが物語の大筋。
このヤクザ組織は色んな組が吸収・合併してできたもので、
しかも会社としての事業も成功している。
ゆえに一番上の長がいなくなると、
そのときの争いが半端じゃねぇ。
893のパワーゲームは会社、ひいては社会全体の
ユニバーサルなテーマとでも言いたいかのような内容。
冒頭から血だらけのおじさんが椅子に縛られて、
ボコボコにされるシーンから始まった段階で、そのまま物語にride on。
イヌ探しなんだけど、コンクリ飲ませてドラム缶にぶち込んで、
沖に捨てるの楽しいなーとか思いつつ。
ボスの死語、跡継ぎ候補になるのは2人の893。
その存在は正反対。一人は潔癖っぽくて、とてもスマートなジュング。
もう1人はチンピラ感が全く抜けていない愛すべきチョン・チョン。
この2人の跡継ぎ争いに乗じて、組織を叩き潰そうとするのが警察。
警察側は潜入捜査官をこの組織に入れていて、
そいつはすでに幹部(理事)もう疲れてるんだけど、
この跡継ぎ争いに無理やり巻き込まれてしまう。
しかも、警察側が描いている作戦の中身を教えてもらえない。
観客も分からないから、興味の持続にもなるし、
より一層主人公の感情にのめり込める作りになっています。
893同士のパワーゲームに警察が関わるという点では、
アウトレイジに通じるものもあるかな?
それに潜入捜査の要素が加わってるんだから、オモシロイに決まってる!
こういった893もので大事になってくるのは、
それぞれのキャラクターの立ち具合。
これがしっかりできてる/できてないで面白さ、深みが全然異なってくる。
そして、本作はきっちりやり切っていました。
とくにチョンチョンの立ち振る舞い最高でしたね。
登場シーンの空港からの車移動の一連のシーンで、
背景は分からないけど、人間性をバシッと観客に分からせる。
それが色んなキャラクターでうまく行われていると思います。
潜入捜査官は、はじめ警察としての自我が存在しているんだけど、
物語が進むにつれ、それが無くなっていく。
仲間が無惨に殺されるのを見てしまうことで、
893に振り切るしか、生きるすべもないし、
そもそも潜入捜査の意味自体も見失う。
この2つのroleで悩むというのは、
潜入ものに欠かせない要素なんだけど、生き残るだけじゃなくて、
893としての仁義もその選択に影響している。
っていうのがFRESHだし、好きだな〜と思いました。
暴力描写も容赦ない感じで。銃撃シーンはほとんどないけど、
韓国特有のど突き合い、刺し合い合戦はアガるし、
血はたくさん出るし、満足しました。
敵味方含めて、犠牲者がたくさん出るんだけど、
警察側が仕掛けなかったら、こんなことは起きてないと考えると、
一番惨いのは一体誰なんだと考えさせられたり。
しかも、警察側が直接手を下すことは一切ないわけだし。
最後はバランスを振り切った主人公が、
のし上がる形で終わるんだけど、
そのあとの過去回想シーンが愛しかった。スピンオフで見たくなるくらい。
最近良い韓国映画見れてなかったので、
コレとスノピアサーきっかけで色々見返したいなぁと思う所存です。

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