2014年2月2日日曜日

Book (2014 January)

今年から本のことを取り扱うことにしました。
映画とは異なり、今年出たものだけじゃなくて、
僕が読んだものを月単位で紹介いたします。
今月は5冊です。


あかんやつら 東映京都撮影所血風録
伊賀大介さん、水道橋博士がメルマガで、
激プッシュしていた本作。
50〜80年代の東映映画および東映京都撮影所の話です。
押されていたけれど、読むの躊躇してました。
なぜなら、映画をたくさん見ているんだけど、
物語で描かれている東映作品を
見たことがほとんど無かったから。
んで実際読み始めたら、
そんなん関係なくて、無類にオモシロい!
文体が単純な回顧録でもないし、分析でもなく、
大河タッチなのが肝だと思います。
見たことなくても、その映画が見たくなる。
東映作品や、それに出てる俳優のエピソードも
最高なんだけど、何よりもオモシロいのが
当時の撮影所や製作スタッフたちの話。
アツい、アツ過ぎる、漢たちの物語。
損得勘定抜きの漢同士の友情。
正月ひたすら読んで興奮して、泣いてました。
映画好きな人はもちろん、漢の物語が好きな人はマスト!

      

解体屋外伝: いとうせいこうレトロスペクティブ
超傑作「想像ラジオ」を昨年読み、
小説家いとうせいこうの凄みを体験したのち、
過去作を読み進めている一環で読みました。
レトロスペクティブシリーズと題して、現在復刊しています。
ワールズ・エンド・ガーデンという作品に出てきた、
洗脳を解除する解体屋のスピンオフ的な作品。
ウォッシャーと呼ばれる洗脳屋と戦うSF物語で、
僕はワールズ・エンド・ガーデンの方が好きだけど、
こっちのほうを映画化して欲しい。
言葉の使い手としての才能が満ちあふれている作品。

     

骨を彩る
R-18文学賞というのがあって、
この賞をとった人の作品に軒並みヤラれちゃっています。
山内マリコとか窪美澄とか。
前作である「あのひとは蜘蛛をつぶせない」を
友人に薦められ、読んだところ、まぁオモシロかったと。
そんな彼女の2作目。
帯に「本物だった」というコメントがあるんですが、
僕も同感で前作よりもはるかに好きです。
まず文体というか、一瞬の切り取り方が美し過ぎる!
日常で絶対に見たことある風景なんだけど、
こんな叙情性をもって書ける人はいないんじゃないだろうか。
本作は短編が5作収録されてるんだけど、
それぞれが全部繋がっている。
最初とラストの結びつけ方が映画みたいで素晴らしかった!
この作品については、
教えてくれた友人のレビューが素晴らしいので、
読んだ方はそちらもご参考までに→bookworm's digest

     

トマス・ピンチョン全小説 LAヴァイス (Thomas Pynchon Complete Collection)
ピンチョンの作品、読みてーな!と思って早数年。
彼の作品の中で最も読みやすいと評判で、
しかも映画化されると聞き、読んでみました。
正直、これで一番読みやすいんかよ…って感じでした。
1970年ごろのLAを舞台にした探偵もので、
GATシリーズとか思い出しながら読んでました。
表紙がおしゃれなので、家に置いておくのもいいでしょう。

     

ユーミンの罪 (講談社現代新書)
最近出た新書です。
日本人でユーミンの曲聞いたこと無い人はいないだろう、
っていうくらい全世代に渡って人気のあるユーミン。
彼女のデビューから1991年頃までの作品を読み解いている本です。
これもあかんやつらと同様で、
そんなに聞いたこと無いしなーと思いながら読み始めたら、
一気に読了してしまいました。
ユーミンの歌詞の世界の豊かさよ…
僕はラップが好きなんですが、
その理由が歌に比べて情報量多いし、色んな意味を包含できるところ。
逆に言えば、歌は情報量が少ない分、聞き手に残されている行間が多い。
その面白みに気づかされました。
バブル期とユーミンの関係性や、そこから導きだす女性論。
文体もユルいので、読みやすいです。

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