2014年5月27日火曜日

ぼくたちの家族



石井裕也監督最新作ということで。
前作の「舟を編む」が素晴らしいマスターピースで、
日本アカデミー賞6部門受賞という結果も伴い、
一気にスターダムをかけのぼった若手監督の1人。
楽しみにして見に行った結果、忘れられない映画となりました。
正直、言いたいことが無い訳じゃなくて、
演出でダサい部分もあるし、物語としてもツッコミどころはある。
なんだけど!ハンパじゃなく個人的に刺さった!
物語に登場する家族構成が自分の家族とまんま一緒ってことと、
年齢層も近いってことが大きな要因で。
そして、この年齢になって考える「家族」との距離感が
あまりにドンズバで、見終わったあと茫然自失。
監督が30歳ということもあって、
似たようなこと考えてるのかな〜と想像したりしました。

主人公は妻夫木君演じる浩介は、ごく普通のリーマン。
結婚してて、初めての子どもを授かったばかり。
彼の母親に脳腫瘍が発見され、余命1週間と宣告される。
そこで父、浩介、弟である池松壮亮演じる俊平が
なんとか母を救おうとstruggleするという話。
難病ものなんだけど、追い込まれ方が凄まじい。
母の治らない病気という大きなハードルに加えて、
両親2人がこれまで作ってきた借金もある。
どこにでもいる家族像を初めに色々と見せられるがゆえに、
前半の八方塞がり具合は息が詰まりました。
俊平が劇中でも言っていますが、
浩介が学生時代に引きこもりとなった時点から、
この家族はギリギリの綱渡りを続けてきて
母親が病気になったことで、問題が浮き彫りになった訳です。
病気、金という2つの大きな問題に対する
父、長男、次男というそれぞれのスタンス、
行動の取り方が中盤から後半に描かれます。
このくだりが心に刺さりまくりました。
ちょっとデフォルメし過ぎている部分はあるものの、
この立ち位置の違いが絶対あるな〜と強く思ったし、
僕は長男なので浩介の立場で見てたんですが、
彼の片の荷があまりに重過ぎて、吐き気しました…
そこに逃げずに立ち向かう漢としての生き様は
尊敬を超えた畏怖の念さえ抱いたなぁ。
ある一定の年齢までは父親が
家族を支えるモデルが成立するけど、
父も歳を取るんだから、そのモデルはいつまでも続かない。
それがまさに瓦解する瞬間を見る訳だから辛かった…
対比となるのが次男の俊介。
はじめはヘラヘラしてるんだけど、
徐々に事態の大きさに気付き、兄をサポートするようになる。
前半のダメな最近の大学生像がフリとなり、
後半にかけては家族を誰よりも愛している優しく逞しい男へ。
(計2回、涙腺が決壊しましたが、
いずれも池松君きっかけでした。)
親がいずれ死ぬことは当然の事実として
厳然と日々の生活の中に存在するとしても、
元気なうちにそこまでの想像は追いつかないことも痛感。
と非常に素晴らしい内容なのは間違いないんだけど、
細かい演出の部分がな〜
占いのくだりは絶対必要なかった。
あのシーンはそんなんなくてもグッとくるところやのに、
アレのせいで台無感が…
あとはラスト手前のセリフで全部説明しちゃうところ。
そこのセリフの内容もちょっと…って感じでした。
ラストで死に行く命と生まれ来る命が
温かい光の中一同に介するのは素晴らしいショットで、
そっからの〜ある人の顔エンディング!
異論反論あるでしょうが、好きな映画でした。

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