2014年6月29日日曜日

渇き。




「嫌われ松子の一生」「告白」等で有名な中島監督最新作。
予告編のゴッタ煮感からして、
相当キテるなーと思ってたら、その通りの感じでした。
メジャーな大バジェットの中で、
こんだけ攻めた映画作れるのは本当に尊敬するし、
誰も規制なんてしてなくて、
作り手の心意気次第ってことを改めて感じました。
ただ、圧倒的な映像のパワーに対して、
お話の作り、運び方が今イチかなとは思いました。
(原作ありきなので難しいところですが…)

お話としては、元刑事で落ちぶれた役所広司が、
失踪した娘の加奈子を探すうちに、
巨大な陰謀に巻き込まれていくというものです。
それに加えて、過去シークエンスとして、
加奈子に恋した男の子野話が並行して進んでいきます。
冒頭、クリスマスのシーンから始まるんですが、
リア充な描写とタクシードライバーのトラビスばりな、
役所広司のカットバックで見せていく。
からのタイトルまでの流れは好きでした。
とくにタイトルのくだりは、往年の刑事ドラマを下敷きに、
キッチュにアップデートした趣きで良かったです。
この映画の何がオモシロいかといえば、
前述したとおり映像だと思います。
過剰なまでにカットを割りまくり、
しかも、顔のアップが異様なまでに多い。
それに加えて攻めたスプラッター描写。
ときにはアニメーションを交えつつ。
映画全体に詰まっている情報量がハンパじゃなくて、
これを見れただけで結構お腹いっぱいで満足。
出てる俳優も実力派ぞろいで、
それゆえに顔のドアップ演出が成立していると思います。
特に主演2人、役所広司と小松菜奈は相当好きでした。
役所広司のギトギトさは終始素晴らしいし、
小松菜奈のファムファタールっぷりもナイス!
彼女は初めて見ましたが、妖婉さや人形みたいな顔立ちで、
表情から何考えてるか読み取れない様を見てると、
これから売れそう〜とも思いました。
役所広司が加奈子を捜索する現在のシークエンスが、
ハードボイルドなのに対して、過去のシークエンスは
全体に甘酸っぱいタッチ。
でも、その対照的な現在と過去が終盤に行くにしたがって、
シンクロしていく進め方は好きでした。
すべては加奈子に起因するあたりは、
「桐島、部活やめるってよ」の桐島のような存在にも見えます。
スプラッターや暴力描写は園子温の影響下かな?
と表面的には感じました。いかんせん相当攻めてます!
(奥さん役は黒沢あすかで、園作品常連組だし)
ここまで述べてきた通り、映像に関しては相当良かったんですが、
ストーリーの組み立て、エンディングまでの展開がイマイチ…
後だしじゃんけんなことが多くて乗り切れなかったです。
刺激的な映画体験であることは間違いないので、
劇場で見た方が楽しめると思います。

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