2014年6月29日日曜日

ホドロフスキーのDUNE



人間として大切な何を失った先輩から
「今年はホドロフスキーの年やで!」と言われ、
エルトポを見て結構な衝撃を受けた後に本作を見ました。
アレハンドロ・ホドロフスキー監督、御歳83歳。
彼がエル・トポ、ホーリー・マウンテンの次に手がける予定だった
未完の超大作SF「DUNE」という映画について、
画コンテを交えつつ、本人や関係者にインタビューするという
ドキュメンタリー映画です。
彼の狂気に満ちた過去作を見た後で本作を見ると、
そのギャップに驚かされました。
あんだけアーティスティックな作品だから、
難しいか、めんどくさい系の人かなと思いきや、
めちゃくちゃ饒舌で人懐っこくて、話がオモシロいおじいちゃん!
半分くらいは彼へのインタビューなんですが、
「DUNE」という映画がオモシロいだけじゃなくて、
このおじいちゃんのオモシロさが乗ってるな〜と思いました。
「DUNE」は元々小説が原作があって、
それを彼がアレンジし、当時の最高の才能を結集し、
これまでにないSF映画を作ろうとしていたことが分かります。
彼自身に才能があることは、
過去2作で明らかになっていたんですが、
それに加えて人の才能を見抜く審美眼、
何とか引っ張ってくる才覚、人徳が強調されていました。
ダリ、オーソン・ウェルズ、ミック・ジャガーetc..
実現しなかったものの、あの手この手を使い、
出演を了承させた彼の手腕は唯一無二。
しかも、そのエピソード1つ1つがめちゃくちゃ面白かった。
(彼の訛が強い英語もかわいらしい感じでしたね)

DUNEを作るにあたっては、
すべてのコマをフランスの漫画家に描かせています。
その人はもうすでに亡くなっているんだけど、
結果的にこの手法を取ったことが後世に大きな影響を与えることに。
準備万端でハリウッドに完成したコンテともに
売り込みをかけると、作品自体の評判はいいんだけど、
ホドロフスキーが監督で撮るなら出資しないという回答ばかり。
最終的に作品制作自体は頓挫してしまう。
その後、デビット・リンチが「DUNE」を撮ることになるんですが、
この一連のシーンは爆笑しましたね。
リンチ版の何とも言えないチープさ、
それが公開された当時の彼のエピソードがホントに最高!
あとなるほどな〜と思ったのは、
原作ベースで映画を作るときの心構え。
「オレはDUNEをレイプしたんだ!」っていう
言葉は悪いけど、言ってることは正論で色々考えさせられました。

結局ホドロフスキーは制作中止となってしまいましたが、
彼が作ったコンテは様々な映画のベースとなるし、
このときに彼が発掘した才能は80年代映画の礎を築いていく。
それが彼の考えた「DUNE」という映画のエンディングと
シンクロしてるっていうあたりがグッときましたね。
「DUNE」はなくても、様々な映画の中で生きている。
ホドロフスキーの世界観を理解する上でもオススメ!

※この作品を見る前に過去作のいずれか見ておいたほうがいいです。
(エル・トポはTSUTAYAの良品発掘にあります)

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