2014年9月17日水曜日

フランシス・ハ



物語る私たちの上映前に予告編を見て、
気になったので、連日ユーロスペースへ。
監督はノア・バームバックという人で、
イカとクジラが代表作で、
他にもウェス・アンダーソン監督作品で脚本を務めたり。
特に期待もなく見たら、めっちゃオモシロい!というパターンでした。
夢 a.k.a 呪いにまつわる話で、「信じて努力すれば夢は叶う!」
という半ば思考停止の文言がはびこる昨今ですが、
本作では、そうもうまくいかない現実にぶつかったときに、
人はどういった行動を取るのだろうか。ということを描いています。
主人公はフランシスという27歳の女の子。
NY在住でダンサーとして売れることを夢見て日々struggleしてる。
ソフィーという雑誌ライター志望の子と、
ルームシェアしてるところから物語は始まります。
2人はとても仲が良くて、いつも一緒、
フランシスは彼氏から同棲を提案されるものの、
ソフィーとのルームシェアを理由に断った結果、
彼氏と別れてしまいます。
その後、「別のエリアに住むから、ルームシェアは解消しよ!」
と逆にソフィーから言われてしまう。
住むところが急になくなるし、仕事も実習生から出世できないし、
予定してクリスマスのショーにも出演できなくなったり、
仲の良かったソフィーにも彼氏ができて疎遠になるし、
まさに踏んだり蹴ったり。
この底辺状態から自分を見つめ直し、新たなSTEPに進むという話。
前半はソフィーのイケイケドンドンのNY生活が中心。
彼氏とは別れてしまうけれど、ソフィーといれれば楽しいし、
ショーの出演も決まるし、順風満帆。
横からのショットが印象的で、NYの街中を走り回る姿が
躍動感に満ち溢れてて愛おしい。
(David BowieのModern Loveが鳴り響く!)
元気なのは前半だけで、後半にかけては辛いことばかり起こる。
フランシスは27歳なんだけど、ここが個人的にも刺さるポイントで、
僕も今年27歳で、仕事どうしよかなーとか、
私生活どうしよかなーとか色々考える年頃。
本作を見ると自分も「考えないと…」っていう気になる。
基本的にフランシスは無計画のいきあたりばったりに、
生きているんだけれど、それじゃ人生はうまくいかないのかも…
と物語が進むにつれ気付き始める。
主体的に生きてきたんだけど、周りと比べたりすると、
果たしてこのままでいいのかと思う訳です。
一番仲がよくて、似た者同士と思っていたソフィーが
コンサバな選択を始めるのと対比になっているのが上手いなーと。
自分が何者でもないときに、人が幸せそうにしているのを聞き、
「あなたはどうなの?」と言われ、強がって嘘付くのとか辛い。
(同僚の家での食事のシーンが最たる例)
フランシスが大人になりきれてないだけって、
切り捨てるのは簡単だけど、
誰しも彼女と同じような気持ちになった瞬間はあるはず。
パリに行けば何か変わるかもと、すがる気持ちで行くんだけど、
何が起こる訳ではない。前半のNYと同様、
街中を歩く彼女の姿を横から撮ってるんだけど、
彼女の心の内を表すかの如く落ち着いていて、
NYとのショットとの対比をなしていると思います。
結局は自分で決断しなきゃ何も変わらない訳です。
終盤は現実に対して、自分をうまくfitさせていくのが、
ある種「リアル」な人生だなぁと。
ラストにタイトルの意味が分かるんですが、
あまりにくだらなくて声だして笑ってしまいました。
パンフレットもクソかわいいのでオススメです。

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