2014年9月23日火曜日

猿の惑星:新世紀(ライジング)



しっかり前作も予習したのちに見てきました。
かなり好きだなぁと印象で、
同じSFだとGOGの方がもてはやされていますが、
こっちも相当良いよ!と声を大にして言いたい!
本作は猿の惑星と化す発火点の部分で、
共存/戦争のギリギリのせめぎ合いを丁寧に描いていて、
見終わったあとに「何て不毛なんだ…」と思わされる。
プライベートライアンは迫力のある映像によって、
それを見せつけてくれた作品ですが、
本作は戦争の仕組みの部分を人間と猿という形で
表現しているのがオモシロかったです。
シーソーのようなバランスで、共存の光が見えた瞬間に、
戦争への足音がすぐに聞こえてくる。
話は前作の続きからスタート。
アルツハイマーの治療薬として開発されたAZ-113が、
人を殺すウイルスとなり世界中へと拡散し、人類はほぼ壊滅。
生き残った人間たちは何とか生き延びようと、
集落を形成しているんだけど、電力が不足してしまう。
そこで猿たちが暮らす森の中の発電所を再稼働させようとする。
森へ潜入し、猿と遭遇し、お互いの利害が一致するように
それぞれが行動しようとするものの…という話。
タイトルが出てから、最初のショットが
猿の長であるシーザーの顔のドアップ!
そっから狩りのシーンとなるんですが、迫力満点で、
この時点で大きくサムアップ!
猿たちの暮らしぶりも丁寧に描かれてて、
前作よりは猿の惑星化が進んでおり、
話せるし、類人猿レベルに文明も発展しています。
人間と猿の交流が始まっていくと、
それぞれの狙いが垣間見えてきて前述した
共存/戦争の危ういバランスを橋渡りするところを
色んなトピックで描いていきます。
見てて思ったのは、個々人が良くないと思っていても、
声のデカいヤツのせいで、
物事はいくらでも悪い方向に転がっていくということ。
そして、戦争というのはPrimitiveな憎悪から始まることも
よく分かる作りになっていました。
それを1人で体現するのがコバという猿。
彼は人間にしこたま実験台とさせられたがゆえに、
人間のことを根底から恨んでいて、
ある時期までは人間に大切に育てられた
シーザーとは対照的な存在。
彼の気持ちも分かるがゆえに、戦争が始まり、
死ぬ必要のない猿がたくさん死んでいくのが切ない。
それを映像でまざまざと見せつけられる。
映画秘宝の言い方を借りるのならば、コバ無双!
両手にマシンガン持って乱射し、
戦車を乗っ取り、人間のアジトへと突入していく姿は、
戦争前に見せるチャーミングな一面とは正反対。
両方見てる分、切なさが倍増しました。
個人間では調和可能なのに、
集団になると全体の利益を優先するがゆえに、
いがみ合いが起こるのは各地で起こっている紛争や、
今の日本、中国、韓国の関係のように思ったり。
ラストはコバvsシーザーの一騎打ちになるんですが、
タワーを落ちながら戦うのがオモシロかったです。
しかも、猿たちはその戦いを囲み、一切手を出さない。
強いやつに従うという弱肉強食の社会。
シーザーが終盤に取る行動のどれもがあまりに哀しい。
彼は利口ですべてを理解しつつも、
回り始めた歯車を止めることができないという地獄…
そして、オープニング同様、再び彼の顔へと集約していく。
SFアクションとしてのルックは抜群なのは当然ながら、
テーマも奥深くて、素晴らしい映画だと思いました。
迷ってる人は前作を予習してから是非!

0 件のコメント: