2014年10月11日土曜日

レッド・ファミリー



東京国際映画祭で観客賞を受賞したというのを以前に聞き、
タマフルの課題作品になったので、見てきました。
中盤くらいまではチープやなぁと思ってたんですが、
終盤にウルトラC級の演出があって、
それに心を鷲掴みにされてしまいました。
見終わってから、キム・ギドグが脚本と知り、
あぁっ…て感じでした。(彼の過去作も見ないとなんですが…)
お話としてはスパイもので、
ある偽装家族の正体は北朝鮮のスパイ集団。
彼らは韓国社会に溶け込みつつ、
北朝鮮から日々送られてくる指令をこなしている。
彼らには事情があって、北朝鮮で家族が人質の状態。
そんな中で、隣に住む家族と触れ合い、
自らの家族というものに思いを馳せつつも…という話。
冒頭、仲の良さげな家族が、
仲睦まじく食事、ドライブをするシーンから始まる。
何気ない家族の日常かと思いきや、
家に帰ってきた瞬間に、規律の厳しい工作員の顔に。
工作員としての上下関係に変わるので、
今まで優しかった奥さんがビンタしまくりで、
めっちゃ怖いという設定でツカミはOK!
前半はこういったスパイギャップで笑わせつつ、
彼らの内情が明らかになっていく作り。
で、隣に住む家族がいて、構成は核家族+祖母。
夫婦仲は悪く、四六時中喧嘩ばかりしている。
その様子を見た祖母と息子があきれる、
という構図を何度も見せられます。
単純に見れば、羨ましくも何ともない訳ですが、
家族とずっと会えずに、スパイをしている彼らからすれば、
喧嘩できることの素晴らしさを感じてしまう。
終わりの見えないスパイ活動、
家族も無事かどうか分からない、
っていう状況だからこその思いは感情移入はしにくいけど、
切ないなぁと思いました。
スパイものなので、定番のバレる/バレないシーンも。
ここが最高で、特に奥さんの身もふたもない発言と、
それにソフト(?)に反論する工作員の発言が何とも。
それはバレるやろ!っていう。笑あ
中盤から後半にかけては、班長の単独行動が裏目に出て、
シリアスな方向へと物語はシフトしていきます。
究極の選択をしなきゃいけない状況まで追い込まれていく。
アリランの歌を挟みつつの、
「家族」を思うがゆえの彼らの行動が切ないし、
ラスト手前の演出は本当に素晴らしかったなぁと。
それは反則だぜ!と泣きながら思いました。
本質的には何も解決しないんですが、
それをすべて代弁するかのような女の子の表情が
また良かったんだよな〜
ブラックユーモアに溢れつつ、
家族の大切さを改めて感じるという、
不思議なバランスの映画でございました。

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