2014年10月28日火曜日

誰よりも狙われた男



ジョン・ルカレが原作ということと、
主演のフィリップ・シーモア・ホフマンが亡くなり、
本作が遺作となったため、RIPの気持ちを抱きつつ、
心して鑑賞いたしました。
ジョン・ルカレ原作らしく、重厚なスパイアクションでした。
同じルカテものだと「裏切りのサーカス」のほうが
断然好きだなーとは思います。
舞台は現代のドイツで、
ホフマンは諜報機関のテロ対策チームのボスを演じています。
911以降、怪しい人物を徹底的に探すことを生業にしている。
そんな中で、イッサというチェチェン人が、
ドイツに不法入国したことを確認し、
彼の調査を行うことが前半のメインの話です。
このイッサっていうやつがいかにも怪しくて、
それを人権派弁護士の女性が助けてあげる。
そもそも彼がなぜドイツに来たかといえば、
亡くなった父の手紙に財産の約束があって、
預けてある銀行を探してやってきたという流れ。
この前半はイントロなんだけど、
結構ダラダラしてて、少し退屈でした。
怪しいヤツはすぐに捕まえて拷問!というのは、
TVドラマの24以降の定番の流れですが、本作では、
「こいつ泳がして、もっと大物捕まえようや」
というスタンスがフレッシュ!
一方で、それを危険だと思う警察内の勢力、
中立のようなスタンスのアメリカのCIAと、
内部での駆け引きも見所の一つになっています。
上記のスタンスは徹底されていて、
最後の最後まで泳がせ戦術を選択するんですが、
それが想定外の形で帰結していく。
まさにミイラ取りがミイラになるかの如し。
その瞬間のホフマンの叫びが凄まじくて、
ウルフ・オブ・ストリートの過剰な”Fuck”に対して、
本作は溜めに溜めまくってからの〜
渾身の”Fuuuuuuck!!!!!!!”が最高でした。
これが遺作だなんて信じたくない仕上がり。
映画用にもっと派手な攻防を描けたと思うんですが、
かなり抑制された演出で、現代の情報戦は、
ハイクオリティな盗聴、盗撮で成り立っていることが
よく分かるような作りになっていました。
シリアスなトーンの中でアクセントになるのが、
ホフマンの茶目っ気のある言動。
めっちゃオモシロい訳でもないんだけど、
急にギアを緩めてくるから、つい笑っちゃう。
俳優陣はかなり豪華布陣で、
レイチェル・マクアダムス、ウィレム・デフォー、
ダニエル・ブリュールなどなど。
画面自体に派手さが無い分、
俳優の顔を含めた演技が重要な訳ですが、
十分に応えうる迫力でした。
重厚なサスペンスが見たい人にはオススメ。

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