2014年11月30日日曜日

日々ロック



サイタマノラッパーでおなじみ入江悠監督最新作。
初メジャー作品で、2015年はじめには、
次作のジョーカーゲームの公開も控えていて絶好調。
本作はライブシーンがとんでもなく素晴らしかった!
でも物語全体の出来を考えると…って感じでした。
何かとすべてがtoo much!!という良さは十分理解した上で、
本作が設けたリアリティラインに乗りきれなかった印象。
(それはサイタマノラッパーとかの比では無い)
主人公は日々沼というロック青年。
彼が中学で組んだスリーピースバンド、
The Rock'n Roll Brothersとして売れるため上京。
ライブハウスに住み込みながら、
なんとか売れるために頑張るものの…というお話。
冒頭、高校時代の駅前での路上ライブシーンで、
良い意味でヘタクソでガムシャラにライブしてるところへ、
ヤンキー達がそれをぶち壊し、大乱闘が起こる。
ここで日々沼がギターで頭を殴り、血がビシャー!
このシーンが映画全体の踏絵になっていて、
僕はここで一歩引いてしまったことによって、
見てる間ずっと悪い意味で客観視してしまい、
物語に乗り切れなかったというのが正直なところです。
(血が出たのがどうこうではなく、その使い方ね)
主人公たちの状況を一変させるのが、
二階堂ふみ演じる宇田川咲という、
エレクトロポップアイドルの存在。
超有名なアイドルの彼女が実は無類のロック好きで、
昔はバンドも組んでいたバンド女子って言う設定。
彼らが働くライブハウスのオーナーが叔父ということもあり、
たまたまThe Rock'n Roll Brothersを目撃する。
そこで突如彼らを蹴飛ばしてライブに乱入し、
歌い始めるのが忌野清志郎の「雨上がりの夜空に」
これがとても好きだったんですよね〜
別に上手いとかそういうことではなくて、
二階堂ふみがギター片手に歌っているのがとてもキュート。
しかも、原曲とテンポも変わってるし、
良い意味で大味な曲調がドンピシャでハマってました。
すげーイイ!と思ったのも束の間、
「おめーらもっとロックしろよ!」というセリフで、
一気に熱が冷めてしまったのが本当に残念。
今回、桐島、部活やめるってよの「おっまた〜」で
おなじみの前野朋哉がバンドメンバー役で出てるんですが、
彼は童貞こじらせ系やらせたら、右に出るものはいない!
ってことを本作でまざまざと見せつけてくれて最高でした。
(蛭子さんキャスティングの悪意もナイス!)
一方で日々沼役の野村周平は終始「えっ…」って感じ。
というのも彼が悪い訳ではなく演出の問題で、
まず何を言っているのか聞き取りにくいし、
常に中腰なのも一体何なんだ!って思いました。
それに加えてステレオタイプで成立させた世界観に、
不快感さえ持ち始めたところで放り込まれるライブシーン。
これがもうすべての不満をチャラにするくらい素晴らしい!
ロックの良さはこれか!!と映像で突きつけられた感じ。
細かいカット割りと手持ちカメラのライブ感の合わせ技で、
グイグイ引き込まれました。正直これだけでも見て欲しい。
終盤は難病もの+サイタマノラッパー的な展開。
これもサイタマノラッパー3部作に比べると、
物足りないんですよねー似たような題材なだけに比べてしまう。
セリフ全体が嘘臭い上に、仰々しいからイライラする。
あぁ…と思っているところで、再度のライブシーン。
前述したシーンに比べるとアレでしたが、
ロックと雨は相性良しということで。
ラストの菜の花畑シーンはアメリカのインディロックっぽくて、
車の感じも含めて好きでした。
中高生が休みの日に本作を見て音楽に目覚めれば、
それでいいかな?と思います。

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