2014年12月15日月曜日

ショート・ターム



メジャー作品が矢継ぎ早に公開されている中で、
見逃していましたが、やっと見れました。
予告編を何回か見ていて、
「あっ!クロエやん!」と思ったのです。
クロエとはブリー・ラーソンという女優で、
あの「24」でジャックの周りで唯一生き残った、
優秀なCTU捜査官を演じています。
(大学廃人時代に全シリーズを見ました)

2016/2/14
まことに申し訳ございません!
ブリー・ラーソンは24のクロエを演じていません。
私の間違いです。
クロエ役はメアリー・リン・ライスカブです。

いやーとても面白かったです。
こういうことがあるから、
未知な映画を見ることをやめれない病にかかっています。
「人を受け入れたり、人に受け入れられることで、
人は幸福を感じる」というテーマが好きでした。
舞台はアメリカですが、日本の最近の社会情勢等も、
考えさせられたりもしました。

題名のショートタームは養護施設のことで、
孤児や虐待された子どもを引き受ける場所。
そこで働くグレイスという女性が主人公です。
彼女とその彼氏や、子どもとの関係を中心に描いていきます。
冒頭が最高にキマってて、
施設の職員同士で過去に在籍した子どもの話をしてる。
しつこいくらい長〜く紹介してからの〜
パンイチの少年が奇声を発しながら脱走!
ハンパな世界じゃないんで。という宣言にも思える、
このシーンで心を掴まれます。
何人か子どもは登場するんですが、
メインとなるのはマーカスという男の子と、
ジェイデンという女の子。
マーカスは黒人でHIPHOPが好きで、
自らリリックを書いたりもしている。
(ペットの金魚の名前がNasなのはアガった!)
非常に内省的で、言葉に敏感。
新入職員が「恵まれない子どもたちのために…」
と何気なく言ったところで、
「てめぇ、なめてんのか?!」
とキレるのは正義感があってカッコイイ。
特に好きだったのはラップをするシーンですね。
自らの反省を怒りに満ちた、
わりと禍々しい感じのラップを、
職員のシンプルなパーカッションに合わせて披露するんだけど、
本当に素晴らしくて、泣いてしまいましたよ!
ラップの初期衝動が真空パックされていて、
今年と言わず、歴代見た映画内のラップでトップクラスに好き。
もう1人のジェイデンという女の子は、
施設への新参者で、父親はいるものの、
父親と過ごすのは週末だけという関係性。
新入りということもあり、排他的で誰とも仲良くならない。
グレイスに対しては徐々に心を許し始める。
そのグレイス自身も親からの虐待を受けた過去が分かり、
本人含め、観客も2人を重ね合わせて見るようになっていきます。
さらにグレイスは同僚の彼氏の子供を妊娠しているんだけど、
その命と向き合うことを放棄し、
中絶しようとしていることが前半で描かれるので、
それも合わさり、複雑な気持ちになりましたねー
はじめは子どもを対象だった作品が、
大人の話へシフトしていき、なんなら大人の方がややこしい。
子どもの場合は外部環境(施設で保護する等)で
なんとかベクトルを変えれるけど、
大人になると内的要因で乗り越えないといけない。
結局それをできるのが大人ということも言えるけど、
それよりも子どもの頃に他人に受け入れてもらった体験が、
何よりも大切だなということがよく分かります。
その経験があるから、人にどれだけ心を開いても良いか、
さじ加減を学習していくことができる。
(逆にできない人は社会から弾かれてしまう。)
ジェイデンとグレイスが2人で車をどつき回すシーンは、
上記内容を捉えた素晴らしく、かっこいいシーンだと思います。
円環構造となるラストも素晴らしくて、
スローモーションでエモさも増していました。
エンディング曲はマーカスを演じた、
Keith Stanfiledのポップなラップで大団円。
非常にオススメの作品でございます。

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