2014年12月23日火曜日

自由が丘で



加瀬亮主演ということで見てきました。
本作は韓国映画でホン・サンス監督がメガホンを取っています。
時間にして約1時間ぐらいしかないんですが、
不思議な感覚に陥る映画でした。
多幸感に満ちているし、加瀬亮演じるモリが
肌身離さず持っている時間という本に象徴されるように、
人生におけるタイミングにまつわる示唆に富んでいます。
モリは韓国で語学学校の教師として、
2年前に働いていたという過去を持つ。
彼はそのときの同僚の女性のことが忘れられず、
韓国を訪れ、再開しようとするものの行方が分からない。
泊まっているドミトリーで出会う人々や、
近くのカフェ「自由が丘8丁目」で出会う人々との
人間関係を描いた作品です。
話自体はミニマルで、場所もカフェとドミトリーのみ。
よくある手法として、冒頭にラストシーンを持ってきて、
これは何?とフックを持たせることで、
物語を進めるというのがあるかと思います。
本作はその手法を劇中で繰り返し用いています。
いきなり「なにそれ?いつのまに?」なシーンを提示し、
急にそのちょっと過去のシーンを入れて説明する。
これが今までに見たことがなくてフレッシュ。
あと、どういう効果を生んでいるのか分からないけど、
カットを割らずに画面上の人物に、
アップで寄るシーンが多いのもフレッシュ。
(加瀬亮の解釈は→リンク
韓国が舞台なので、韓国語で意思疎通を図るかと思いきや、
会話は基本英語のみで進んでいきます。これもフレッシュ。
お互いにとって第二言語を使うことで、
英語の非native感もあいまって、
関係性がフラットになるのが良いなーと思いました。
変におもねることもないし、感情表現がストレート。
(モリ自身の性格もあると思いますが)
特にドミトリーのおばあさんとの会話は、
今の時代を象徴するような話。
ヘイトスピーチしかり、人種で大きく括って、
物事を語るナンセンスさ。
これだけ色んな情報を得ることができて、
世界との関係がフラットになっているのに、
矮小化した議論は死ぬほどくだらない訳。
この辺のことを日常の延長で描いているのが素晴らしい!
さらに 「When do you feel happy?」に対する、
加瀬亮のヤダ味のない回答が好きだったなぁ。
上記のインタビューにもありますが、
ホン監督はその日に台本書くというスタイルらしく、
その影響もあるのか、映画がおそろしく「自然」なんですね。
さらに加瀬亮という俳優が持つ、
ナチュラルさが全体を包んでいるとでもいいましょうか。
とても中原昌也の新刊の帯コメントと同一人物とは思えない。
(今、読んでいますが衝撃作ですので、そちらも是非!)
話が逸れましたが、映画の大きな要素を占めるのが恋愛。
好きな人に会いにきたのになかなか会えない中で、
カフェの店員の女性といい感じになっていく。
これが人生のタイミングの話で、
そのときのベストに人間は寄りかかっていくよね〜と。
加瀬亮ファンは必見の映画だと思います!

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