2015年2月22日日曜日

フォックスキャッチャー



スティーブ・カレル×チャニング・テイタム×マーク・ラファロ
というメンツでレスリングの映画と聞いて見てきました。
実は1度見た際に劇的に体調が悪くて、
ほとんど寝てしまうという最悪な事態となってしまったので、
2回目をキメてきた次第です…
結果として2回見て良かったと思えるくらい好きな作品でした。
監督はベネット・ミラーで前作のマネーボールを
見れていないので早く見ようと思います。
女性はほとんど出てこなくて、3人の男たちによる、
ラブストーリーさながらの関係性のバランス変化が
見ていてとても楽しかったです。
自分では何もできないくせに己のプライドを大切にし、
名誉だけを求めるクズ野郎がいかにクソかってことが、
丁寧に描かれていて、お飾り上司たちに煎じて
吐くまで飲ませてやりたい!と心の底から思いました。
実話ベースの話で、チャニング・テイタム演じるマークと、
マーク・ラファロ演じるデイブは兄弟2人して、
レスリングの五輪ゴールドメダリスト。
スティーブ・カレル演じるデュポンが
レスリングチームを発足し、そこへマークを招集する。
アメリカを代表するチームを作ろうとするものの…という話。
冒頭、白黒の昔のデュポン家の映像、タイトルから始まり、
マークが人形相手に黙々とスパーしているシーンへ。
彼の生活が上手くいっていないことを説明ではなく、
小学校での講演、食事、デイブとのスパーで
描いていくのは素晴らしいなーと思いました。
デュポンがTELしてきて、彼の豪邸を訪問し、
マークはデュポンに付いていくことにする。
このデュポンの異形感をスクリーンで見るだけでも、
本作の価値があるくらい。
笑い方、歩き方など、どれを見てても狂気を感じる。
Foxcatcher所属となったマークは世界大会で優勝。
この打ち上げシーンが最高で、
David BowieのFameがかかる中、祝杯を挙げていたら、
デュポンがレスリングに対する思いを述べて、
皆とレスリングでじゃれ合う。
ここでデュポンが裸の王様であることが示され、
なおかつマザーコンプレックスを抱え、
母親からの承認を強烈に求めていることが分かる。
裸の王様はうまくいっているときはいいんだけど、
これが徐々に崩壊していきます。
優勝したことで2人の距離は縮まり、
コカイン一緒にキメたりするような関係に。
練習もロクにしないで怠けているときに
デュポンが母親にレスリングをバカにされ激昂し、
さぼっているマークをどつき、Ape呼ばわり。
兄のデイブを何としてでも招集することにする。
ここで明らかになるのはマークが、
兄無しでは何もできないことを認めたくないということ。
(この点で考えるとマークとデュポンは似た者同士)
デイブがFoxcatcherに加入し、コーチ経験もある彼は、
チームにとってなくてはならない存在へ。
マークはその指導に逆らい、独力でなんとかしようとする。
そしてデュポンは、本当のコーチが登場したことにより、
お金だけ持っている裸の王様でしかないことが露になってくる。
この辺りの微妙なパワーバランスの変化を
丁寧な描写の連続で描いてくのが好きでしたねー
何気ない行動の一つ一つが崩壊への序章となる訳です。
それに説得力を持たせているのが、
各俳優それぞれの演技にあるのは言うまでもありません。
テイタムは自意識こじらせ系ゴリラという
新たな側面を見せてくれたのが素晴らしかった!
とくにオリンピック予選で負けてしまってからの
ホテルの部屋で暴れ倒し、食い倒すシーンは最高最高!
鏡を頭突きで割るんですが、
それまでの鏡を前にした彼の言動がフリになっていて、
最もエスカレートした瞬間に頭突き!っていうね〜
IMDbによると脚本に無かったっていうんだから凄い)
そしてラファロは2人のコンプレックス野郎を
受け止める寛容ゴリラをカラダ張って体現。
(最初にテイタムとスパーするシーンは最たる例)
勿論カレルはこれまでの3枚面のキャリアを
すべて覆すレベルの怪演!
僕が好きだったのは母親が練習を見にきた瞬間に
コーチづらして指導を始めるところ。
なんて滑稽でクソなんだ!と。
お飾りの裸の王様であることに最終的に気付いた彼が取る、
最悪のエンディング…
男同士のジェラスがときに
女性同士のジェラスを超越する瞬間が克明に刻まれています。
マネーボールも早々に見たいと思います!

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