2015年2月6日金曜日

さよなら歌舞伎町



今もっとも注目すべき若手俳優の染谷将太と、
元AKB48の前田敦子の2人が主演ということで見てきました。
俳優陣、テーマとオモシロい要素が揃っているのに、
こんな残念な仕上がりになってしまうのが
とても悲しい…と思いました。
オムニバス形式に近い作りで、
主演の2人のエピソードはメインの軸になっているものの、
エピソードの1つでしかない側面も強く、
この2人でガッツリした物語を見たかったところです。
描かれる他のエピソードはオモシロいものと、
これはあかんで…という玉石混合スタイル。
ゆえにもう少し絞ったら好きになっていた気がするし、
同じ俳優陣、テーマで園子温監督にやって欲しかった!
というのを見終わった直後に感じましたね。
染谷くんは元一流ホテルの従業員で、
クビになってしまったことでラブホの店長として働いている。
その彼女が前田敦子で歌手デビューを目指す女の子。
彼が勤めるラブホを訪れるお客さんの悲喜こもごもを
コミカルに描いた作品です。
最初のシーンが一番好きで、あっちゃんのギター弾き語り、
染谷くんとのいちゃいちゃからの、
2人乗りで駅へ向かって走りーの、タイトルが出るところまで。
多幸感に溢れていて素晴らしかったです。
(忘れられない「ねぇ、しよ!」)
最初のシーン然りなんですが、
本作はワンカットで撮ってるのが多くて、
あんまりカットを割らない作り。
引きのワンショットだったり、ブレブレの手持ちだったり。
ブレブレなのは臨場感を出すための演出なのか、
でもあんまりうまくいってなくて、
単純に見にくいなと感じました。
引きのワンショットも
舞台となるラブホやデリヘルの待合室などが
箱庭のように見えてファンシーさを増すのはいいんですが、
セリフによる過剰な説明も増えてしまう。
とくに染谷くんの妹がホテルで自分の身の上話をするのは、
分かったからもういいよ!と言いたくなるレベル。
しかも、その内容が3.11が関係してるし、なんだかなーと。
彼の出身地は津波で流されていて、
思い出したくない過去のメタファーとして
あっちゃんが枕営業する部屋番号が311っていう演出や、
その過去の蓋をこじ開けて現実へと向かうラスト。
確かに言いたいことは分かるけれど、
そこに至るまでの心情が見えにくいなぁと思います。
ワンカットが多いのはいいけど、
それによって映画全体のテンポが悪くなる上に、
上映時間が132分なので体感時間が長く、
見てて疲れました。
いくつかのエピソードが描かれているんですが、
僕が好きだったのは韓国人カップルの話と
刑事不倫コンビと逃亡犯の話です。
前者は正直メインよりも興味ふかくて、
カップルだとしてもお互いのことなんて、
100%知っている訳ではなく、
それを踏まえた上でどうやって2人で生きていくのか?
というテーマが好きでした。
この韓国人のデリヘル嬢を演じている人が
ハンパないなーと思い、帰って調べてみると
イ・ウヌという人でキム・ギドクのtimpo映画である、
メビウスに出てる人とのこと。
メビウスは未見なので、そっちも楽しみになりました。
また同じテーマがメインの2人でも描かれるんですが、
もう韓国人カップルの話で十分やんと思ってしまいました。
後者は刑事という真面目な部分と
不倫という禁じられた行為のバランスがオモシロいです。
(とくにプレイ用の手錠に付いてるフワフワしたやつが
すげーアホっぽくて最高でした)
あと見ていて強く感じたのは、ゴールを予め設定しないと、
それ以上にも以下にもならないということです。
この辺りは自戒の意味を込めて自らに言い聞かせたい所存。
エンドロールにかけてのあっちゃんの泣きながらの
弾き語りは素晴らしくて、やっぱこの人は映画的!と改めて。
色々ともったいない作品でした。

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