2015年2月22日日曜日

アメリカン・スナイパー



クリント・イーストウッド監督最新作。
前作のジャージーボーイズから、
このスパンでの最新作公開というそのエネルギーに
マキシマムリスペクトですよね、ホント。
イラクで指名手配されるぐらい大量に人を殺した、
実在の伝説のスナイパーが題材といことで
期待して公開初日に見てきました。
どちらが正しい/悪いの安易な二元論を提示しないのは
勿論のこと「やらなきゃやられる」状況に置かれた人間同士が、
戦争で殺し合う姿を見ていると、とても哀しくなりました。
でも「やらなきゃやられる」という無限ループ。
キャサリン・ビグローが近年描いてきた
ドラッグとしての「戦争」にもフォーカス。
折り合いをつけて生きていくことができればいいけど、
こんなことになるなら初めから戦争なんて無ければいいのに
と心の底から思いました。
冒頭は予告編でも使われていた1回目の派遣での戦闘シーン。
グレネードを持った子どもが出てきて、
撃つ/撃たないで異常なまでにテンションが張りつめて、
主人公の幼少期へシーンが変わる。
主人公のスナイパーを演じるのはブラッドリー・クーパー
(実際の人物と劇似!)
幼少期から彼が軍隊に入るまでの過程を描いていきます。
出身はテキサスで兄弟2人でカウボーイを稼業としていたけど、
アフリカ諸国での大使館テロのニュースを見て、
30歳でSEALSへ入隊する。
訓練シーンも描かれるんですがフルメタルジャケットばり。
白人、黒人の教官が人種差別発言しまくりなのが興味深かった。
訓練を耐え抜きSEALSへ入隊したところで911が勃発。
そしてイラクでの最初のシーンへと戻っていきます。
ここで子ども、女性を容赦なく殺すところで、
本作がヌルいものではないことがビシビシ伝わってくる。
この1回目の派遣のタイミングで奥さんは妊婦。
幸せかのように見えたけど、
次の派遣で宿敵となるスナイパーが登場。
シリア人のオリンピックメダリストの凄腕で、
2人の殺し合いが本作のメインといってもいいでしょう。
狙撃って単なる打ち合いじゃなくて、着弾自体が
「お前を見ているぞ」というメッセージとなるんですよねー
とくにアメリカ軍が襲撃されて、ミラーでスナイパーを見てたら、
それが狙撃されるシーンがオモシロかったです。
バイオレンス描写が相当攻めていて、
前述した子ども狙撃は序の口で、本作を見た誰もが忘れられない、
ドリルによる報復シーン。
近年見たバイオレンスシーンでも屈指の残酷さ。
戦争が起これば、子どもだって死んでいるに決まっているし、
頭で理解しているけれど、画で見せられると相当キツい。。。
後半は戦争中毒にまつわる話へシフトしていきます。
最後のイラク派遣前に奥さんから行くのを止められるんですが、
このシーンが戦争へ志願する人の思考回路なのか…
と納得しつつも、ヤダなーと思いました。
(アメリカが攻撃されたら家族が死ぬ。
ゆえに家族を守るためにイラクへ行く)
そんな彼が除隊することを決める戦闘シーンは
本作でも最大の見所だと思います。
ローンサバイバーばりの圧倒的不利な状況に加えて、
砂嵐で何も見えなくなる中での逃走。
生き地獄とはこのことかと…
帰って来てからはPTSD気味になりつつも、
何とか平穏な心を取り戻した彼に待つ悲劇。
なんて日だ!と冗談抜きで使いたくなりました。
戦争映画のマスターピースとして
語られていくことかと思いますので、
是非劇場で見ておくべきだと思います!

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