2015年3月22日日曜日

博士と彼女のセオリー



イミテーション・ゲームがチューリングなら、
本作はホーキング博士!同タイミングで学者自伝映画が
公開される数奇な運命を感じつつ見てきました。
(ちなみにホーキング博士を題材としたイギリスのドラマでは、
カンバーバッジが主演を務めている)
とても素晴らしい作品で画の構成力というべきか、
なんてフォトジェニックな映画なんだ!
と終始ニヤニヤしながら鑑賞しました。
美しい映像を見てるだけで楽しいし、
もちろんお話自体もオモシロくて、
ホーキング博士はALSの物理学者ぐらいの前知識で見たので、
「そんなことが?!」と思ってしまう内容。
複雑な愛の形と過ぎ行く時間の流れの残酷さと希望。
ホーキングの研究内容は広く言えば、
時間に関するもの(時間の起源かな?)なので
倍で突き刺さる内容なんやで…

お話としてはホーキングの大学時代から始まり、
ALS発症、奥さんのジェーンとの結婚、
最終的に女王陛下との面会までを描いたものです。
冒頭温かい光の中ボヤけた人物像が映され、
ホーキングと思われる車いすがグルグル回り、
それが自転車の車輪とオーバーラップし、
大学時代から物語が始まっていきます。
この時点で「映像のセンスよ!」と思わざるを得ない。
前半は病気の発症と奥さんの出会いから結婚まで。
パーティーで出会って意気投合し、
だんだん仲良くなっていく姿は甘酸。
(ホーキング家の一筋縄でいかない感よ!)
特に舞踏会に2人で行くシーンは、
メリーゴーランド、花火、ダンスをvividに映し出していて、
極上甘酸で最高最高やったな〜
あと大学での研究テーマを模索する中で、
かつてのケンブリッジの偉人たちが
使っていた研究室を訪れて、
黒板に思いを馳せるシーンは、
脈々と受け継がれる知の巨人のDNAよ!
って感じで理系人間としてはガン上がりでした。
(黒板がイイ感じに汚いから足跡のように見える)
ALSを発症し自閉的になっているホーキングを
助けるのが奥さんとなるジェーン。
彼女が説得するシーンの赤色の使い方が印象的だし、
ホーキングがクロッケーをヨボヨボの体でするのが
見ていて辛かったけど、それでも彼を受け止める
ジェーンの覚悟がカッコいいなーと思いました。
残された少ない時間を共に過ごすため、
2人は結婚し子どもをもうける。
そして物語が進むに連れてALSの症状は悪化する訳ですが、
主演のエディ・レッドメインの演技よ!!
歩き方、表情など、どれを取っても
病気を発症しているようにしか見えない…
俳優の覚悟、ここに極まり!っていうレベルで、
韓国映画のoasisを思い出したりしました。
彼はこの役のために体重を落とし、
40人以上のALS患者と会い、
4ヶ月、自らの体をコントロールできるように
ダンサーとトレーニングを重ねたとのこと。
体は衰えていくんですが、頭脳は明晰なので、
物理学者として着々と成果を残していくんですが、
博士論文の結果のところで号泣メーンでしたね。
(その後の打ち上げでの彼の歯がゆさも含めて)
彼のボスはキップ・ソーンですが、
ソーン博士はインターステラーの
製作総指揮を担った人ということで、
ここでも男の星座が繋がっています…宇宙!
後半は奥さんとの関係が歪み始める過程を
丁寧な描写で描いていきます。
大きな要因としては聖歌隊の先生が、
ホーキング一家のヘルパーを始めて、
ジェーンが彼のことを好きになってしまうこと。
でも、それだけではなく日々の生活の細かい部分で
だんだん不満が蓄積していくっていう描き方が好きでした。
一方のホーキングも超優秀なヘルパーと
関係を深めていき夫婦仲が上手くいかなくなる。
ただ、どっちが悪いとか無くて、
お互いが許し合っている関係とも言うべきか。
それが描かれた部屋で2人が泣き合うシーンは
グッときましたね〜
ラストは女王陛下との面会シーンで冒頭と繋がる。
2人で子どもを眺めるシーンを見ると、
共に時代を生き抜いた同志として、
互いをリスペクトしているのがかっこいい。
ここから2人の出会いまで時間が巻き戻るんですが、
ホーキング博士の研究テーマと重なり、
相当好きな終わり方でした。
さらに、エンドロールの宇宙にホーキングの後ろ姿が
最後に映るところでサムアップ!
理系偉人系伝記映画をもっと見たい!

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