2015年3月27日金曜日

ワイルド・スタイル



タマフルで荏開津広さんをゲストに特集されて、
「これは見ないと!」と思い、
K-DUB SHINE氏のトークショー付きで見てきました。
特集でも言及されていましたが、
映画としての出来は確かに今イチなんだけど、
自分の好きなHIPHOPのオリジンを目撃した!
という衝撃が勝ったなーという印象です。

舞台は1982年のニューヨークのブロンクス。
ゾロという名で活躍するグラフィティライターが、
ひょんなきっかけで仕事として
絵を描いてもらうように頼まれ、
最終的にフェスの舞台にグラフィティを描くまでを
ドキュメンタリータッチで捉えた作品です。
冒頭かわいらしいグラフィティのアニメで、
タイトルクレジットが流れて意外だなーとか考えてたら、
当時のサウスブロンクスの風景が映り、
その考えはすべて吹き飛びました。
「空爆されたのか?!」と思ってしまうほど、
街が荒れ果てている様子がスクリーンに映し出される。
先進国のアメリカに1980年代とはいえ、
こんな街が存在していたこと自体が衝撃…
そんな街の中でもHIPHOPの4大要素である、
ラップ、DJ、グラフィティ、ブレイクダンスで
日々街を彩る若者たちの姿が眩しい。
本作のメインは主人公も虜になっているグラフィティ。
地下鉄に書くことが一つのステータスなんだけど、
警察に捕まるリスクも伴う。
しかし、彼らは自らの存在を叫ぶかの如く、
地下鉄をグラフィティで埋め尽くします。
そういった自由に描くことと、
商業的に描くことを物語を進めながら
対比して描くんですが、
その葛藤の部分は作り込みが足りないかな〜と思います。
(おばさんの誘惑シーンは楽しかった!)
そして音楽の部分を担うラップとDJも
本作の大きな魅力だと思います。
HIPHOPは世界的なものとなり、
その影響を受けていない音楽を探す方が難しい状況です。
しかし、当時はDJが2枚使いブレイクを繋いで、
その上にひたすら言葉を乗せていき、
パーティーを盛り上げていくスタイル。
「なんて原始的でかっこいいんだ!」と思いました。
バスケットの試合でミュージカル調になるシーンも
唐突だけど好きでした。
個人的なハイライトはグランドマスターフラッシュが
キッチンにターンテーブルをセットし、
ストイックな2枚使いを披露するシーン。
めちゃくちゃタイトなんですよねーその2枚使いが!
荏開津さんも特集で言っていましたが、
ヒップホップがビートの音楽であり、
それがコラージュの形で様々な要素の
ハイブリッドとなっているところにグッとくる。
僕がヒップホップを本格的に好きになったのは、
KANYE WESTのTHROUGH THE WIREで、
今となればソウル早回しの代表的な曲ですが、
当時見ていた全米TOP40の番組で聞いたときの
衝撃は今でも忘れられません。
本作を見ると、その頃の気持ちを思い出し、
この「何でもあり」感なんだよなーと改めて。
あと、僕の好きなRHYMESTERが、
本作の要素を多分に反映していると思います。
ウワサの真相の「勝算」は
ユニゾンの掛け合いラップですが、
ダブルトラブルの階段でのラップに似てるし、
肉体関係PART2のライブ中の
「SEX!」というコール&レスポンスは、
ビジー・ビーが元ネタだろうし。
他にも日本語ラップ好きな人が、
アガる場面も多いと思いますし、
すべてはここから!という感動が
めちゃくちゃ大きいのでHIPOHOP好きはマスト!
見終わったら、これを聞くと倍で楽しめる→リンク

0 件のコメント: