2015年4月20日月曜日

マジック・イン・ムーンライト



ウディ・アレン最新作ということで見ました。
前作のブルージャスミンで権威主義のクズが
行き着く末路としてエゲツない結論を提示した彼が、
一体どんな新作を…と期待していたんですが、
めちゃくちゃオモシロかったです。
予告の見た目よりも毒がてんこ盛りだけど、
HAPPYな側面もあってちょうどいいバランスだと思います。
舞台が南仏でLOOKは抜群にCUTEなんだけど、
EYE OF THE TIGERを失っていなくて、
容赦ないときは本当に厳しいスタンス。
(特にスピッてる人をドスで刺すような感じ)
けれどコメディとして十分楽しめる
娯楽作品にまとまっているあたりが
ウディ・アレン節なのかもしれません。
ネタバレするとオモシロさ激減なので、
これから見る人は見てから読んでね。

主人公はコリン・ファース演じるスンリーというマジシャンで、
中国人の扮装をして活躍しています。
そんな彼にマジシャンの友人から謎の霊能者について、
そのトリックを見破って欲しいとお願いされ快諾。
意気揚々と種明かしに挑むものの、
逆にエマ・ストーン演じる霊能者ソフィに
彼しか知り得ないことをズバリ言い当てられて…という話。
まずマジシャンが強烈なニヒリストであり、
科学しか信じていない人というとことで
異常なまでに感情移入してしまいました…
天の邪鬼全開で初対面の人にも笑えない皮肉を
ガンガンぶち込んでいく彼が、
ぐうの音も出ない霊能力に翻弄されていく。
マジックを生業とし、世の中のすべての事象には
起こるべき理論(タネ)が存在すると信じるスタンリーが、
結果的にソフィの非科学的な能力を肯定するようになる。
その結果、彼が持っていた厭世観は無くなり、
楽観的となり、人生を主体的に謳歌し始める訳です。
これが僕のような天の邪鬼にとっては
パンドラの箱を開けたような気持ちといいますか。
意外に転んだ方が楽なのかな〜とか考えましたね。
特に花の臭いのくだりが好きで、
そういう幸せを噛み締めれるような感受性欲しい!
と心から思いました。この時点では…
また、エマ・ストーンがぐっさカワイイんですよねー
2人でドライブデートに行くシークエンスがあって、
雨に降られて天文台で雨宿りするシーンは
今年最高峰の甘酸だと思います!
ソフィはスタンリーに惹かれていき、
舞踏会でそれを匂わせるような発言をするんですが、
スタンリーのプライドは高く、
「いやお前の能力は認めるけど、
女として見る訳がないやん。フィアンセおるし。」
とマジ超カワイイドレスを着た
ソフィの気持ちを踏みつぶしてしまう。
その後、彼のおばさんが交通事故で重体となってしまい、
彼は神におばさんの無事を祈るんですが、
そこで急に「あかんあかんあかん!」と我に返るんですね。
このシーンが超好きでめっちゃ笑ってしまいました。
理性を取り戻した彼がソフィのタネを明かし、
ほれ見たことか!と宣言し全てが元通り!と思いきや、
スタンリーにこびりついて離れないのがソフィへの恋心。
rationalに考えれば100点のフィアンセがいるのに、
ソフィの笑顔が頭から離れず、
まさか自分がアメリカの田舎育ちの詐欺師のことを
好きになる訳がないと悶々とする姿がオモシロい。
理性を超越するのが愛だということを
論理的に映画内で説明するというメタ構造が
落語のようによくできていて素晴らしい。
あと会話シーンが多いんですが、
リチャード・リンクレイターとは
また異なるwitに富んだ会話の名手だなーとも思いました。
あとは細かい伏線の回収も見事で
ラストの粋さにサムアップ!
ウディ・アレンの意地の悪さと優しさが
同居する楽しい作品でした。

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