2015年4月26日日曜日

ジヌよさらば かむろば村へ



松尾スズキ監督作品ということで見てきました。

大人計画の舞台は何回か見たことあるんですが、
映画を劇場で見るのは初めてだったので楽しみにしていました。
(僕のfavoriteはクワイエットルームへようこそ)
本当に独特のテンポとコメディセンスだなーと改めて。
舞台だともっと笑えたのかもだけど、
映画となると乗り切れない笑いが多く、
つくづく難しいバランスなんだなーと思いました。
メインテーマである「他者のために生きる」ことの大切さが
ぬるっと伝わってくるのが素晴らしかったです。

主人公は松田龍平演じるタケという男で、

一切お金を使わない生活をするために
かむろば村に家を買い自給自足の生活を試みる。
そんな生活が上手くいかない中で
阿部サダヲ演じる村長に助けられながら、
無銭生活を続けるものの…という話。
冒頭、荒川良々と二階堂ふみのやり取りから、
松尾スズキが作った映画!という刻印がはっきりと。
それはセリフの内容、テンポ、間によるもので、
まともな神経してたら、いきなり「猫になりてー」とか言う
893出さないでしょ。(褒め言葉です)
全編に渡ってこの調子なんですが、
ドヤが強い部分もあって、素直に笑えない部分も多かったです。
映画はフレームで区切られるがゆえに見方が一義的で、
松尾さんのオモシロい部分が押し付けがましく見えるのかなと。
舞台だとそのボケを受けている人の様子も含めて、
大人計画の器があるから成立していると思うんです。
とごちゃごちゃ書きましたが、
僕が一番好きだったシーンはネーミングライツ売って、
バスを買う/買わないを話し合うところ。
「えっ?」からの二段落ちが最高でした。
限界集落が笑えない現実として近づいている中で、
本作から見えるのは「それでも生きていく」ということ。
確かに年配者が多くなり、病院等の生活基盤が失われていくことは、
「問題」だし、あった方がいいに決まっている。
けれど一方的に相対的な視点で不便でダメだと
決め付けるのも考えものだなーと。
神様っていうキャラも登場するから
全体的なリアリティーライン低めの中で、
ここまで考えさせるのはバイプレイヤーである
大人計画の面々の実在感によるものかと。
顔は濃いんだけど「本当にいそう!」というバランス。
Only Oneとしての自分を探す論調が強い時代の中で、
他者のために生きることで世界は回るじゃん!
普段は完全に己のためだけに生きているから、
色々考えさせられました…
みうらじゅん氏が提唱する「自分なくし」の概念と
通じる部分が非常に大きいところです。
(興味ある方はマイ仏教をご参照ください。)
あと松たか子と二階堂ふみが5億点にエロいので、
ラストのタケのセリフに深く頷きました。
ユルい中でも見所はあると思いますので是非。

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