2015年7月15日水曜日

コングレス未来会議



映画館で予告編を見てオモシロそーと思い見ました。
ぼんやりSFものかーぐらいの感じだったんですが、
結構ヘビーな内容のディストピアもので刺さりました…
相当ぶっとんだ内容で先の展開が一切見えないまま、
グイグイ引き込まれた先に見える景色の
甘美とも残酷とも取れる重さがズーンとくる。
「映画の見過ぎで仮想現実に生きてる時間の方が長いんですよ〜」
って冗談でたまに言ってますが、それでいいのか?!
とか広い意味で考えちゃうような映画でした。
ネタバレしちゃうとアレな映画なので、
これから見る人はここで読むのをやめてね!

主人公はハリウッド女優のロビン・ライト本人。
(フォレスト・ガンプで有名になった人→Wiki
彼女はピークを過ぎたお荷物俳優として
ミラマウントという映画会社から扱われている。
そんな中でミラマウントから彼女をスキャンし、
CGキャラとして契約させてくれと打診がある。
息子が難病に侵されていて、そのケアに専念したい気持ちもあり、
彼女は契約を結び、俳優ロビンライトを売ることにする。
その20年後にThe future congressという会議が開かれ、
スクリーン内で加工された俳優として
会議に呼ばれるものの…というお話。
冒頭、ロビン・ライトのアップから始まり、
彼女の俳優としてのキャリアをマネージャー、
ミラマウント、家族と話合うのが前半。
このシークエンスは一つの演技論になっていて、
監督に言われたとおりやるだけなんだから、
あんたじゃなくて、スキャンしたデータでもいいじゃん!
という論が興味深かったです。
それこそ平田オリザの計算され尽くした演出法の話とかも
関連してくるような話だと思います。
彼女は説得され、自らの俳優としてのキャリアを売り、
難病の息子と共に生きることを決意する。
この辺りは近未来SFとして、
近い将来に実現してもおかしくないような話なんですが、
時制が一気に20年後まで進み、
Congressに参加するくだりになると状況が一変。
まさかのアニメーションが始まるんです!
しかも、それはあるケミカルをキメたことで
トリップ状態にいるという設定で、
そのキメた人たちの集まりがCongress.
最初のアニメ部分のドラッギー描写は凄まじくて、
LSDキメたときに近いのかなと妄想。(私はno drugです)
今の時代もドラッグは現実逃避のツールの一種だと思いますが、
それによって実人生を失ったとしても楽しいから良くね?
というのがケミカルをキメた側の意見。
だって現実があまりに残酷な世界になってしまったから…
これは非常に考えさせられることで、
辛いからってそれでいいのか?とも思うし、
たまには逃避したくなるよねとも思うし。。
アンビバレントな感情を引き起こし、
観客に考えさせる描写がたくさんあります。
他者への同一化願望の表現として、
過去の偉人がたくさん出てくるのが面白くて、
マイケル・ジャクソンがロブスターを
レストランでサーブするシーンは笑ってしまった。
アニメーションはお世辞にも上手いとは言えないけど、
味があって海外アニメに見られる独特のギクシャク感が、
ディストピアとマッチしていて好きでした。
トリップ体験と並行して描かれるのが、
ロビン・ライトと息子の親子物語。
彼女はトリップした世界からescapeしようとするんだけど、
それは現実にいる息子に会いたい気持ちがあるから。
この快楽の世界に身を納めるか、
辛い現実社会に戻り、息子に会いに行くかで
逡巡する姿を見ていると、こちらも考えまくり。
人間って快楽に弱いから、
どこまで強くいれるんだろうと思ったりしてました。
結局、終盤にアニメから実写に戻っていくんだけど、
そこでのコントロールする側/される側の
圧倒的な格差描写がエグかったなぁ。
とくに切り替わりの瞬間が残酷で、
色調を含めた見た目の変化にヤラレました。。
息子がいない世界で生きていけない辛さゆえの
行動を彼女は取るわけなんですが、
これがまた切なくてねぇ。
せっかく夢想の世界なのに
現実社会をトレースしていくだなんて、、、
その先に待っている結末は甘美と言いたい。
レムの原作も読んでみようと思います!

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