2015年7月22日水曜日

バケモノの子



夏の日本映画の風物詩となりそうな、
細田守監督最新作ということで見てきました。
(初めてTCX+DOLBY ATMOSで見ました)
おおかみこどもの雨と雪も相当好きでしたが、
本作は不器用な男同士の親子関係の話かつ、
青年期のidentiyにまつわる話なんだから、
個人的にドンズバで最高最高!
見るタイミングで感想が変わりそうだし、
かなりのvolumeなので繰り返し見ることで
その味わいは変化しそう。。。

主人公は九太という男の子。
9歳の頃に母親を亡くし、
渋谷でストリートチルドレン状態だった時に、
人間界とは別にあるバケモノの世界へ迷い込む。
そこで熊 徹というバケモノ界随一の強者に
弟子入りすることになり…というお話。
冒頭、大泉洋のナレーションで
バケモノ界の状況が説明されつつ、
炎の男達がスクリーンを躍動する。
この時点でいつもと違う空気を感じました。
そこから九太の背景がざっと説明されバケモノ界へ。
孤独で誰も頼ることのできない九太にとって、
必要なのは「強さ」であり、それを体現する熊徹。
熊徹から弟子入りの打診を受けるものの、
ガサツな彼をどうしても受け入れられない。
一方の熊徹も1匹狼気質であるがゆえに、
うまく九太に接することができない。
正直この前半部分の弟子シークエンスは
終始ウルル状態というか…
不器用な2人が徐々に距離を詰めていく姿が
あまりに愛おしすぎて。
擬似的ながらも親子関係を構築し、
一方的に上から押し付けるのではなく、
子どもも1人の人間であり、
互いに足りない点を補い合うリスペクトの関係。
ここに細田監督の親子関係に対する、
まなざし、見解を見て取れると思います。
その打ち解ける瞬間が卵かけご飯。
完全にフード理論に基づいた演出で5億点!
九太が17歳になったあとは、
青年期特有のidentityの話。
バケモノ界で育った彼は元々いた人間世界への憧れを抱き、
女子高生の楓と出会い勉強を始める。
ここではないどこかが人間界=現実世界であり、
そこで知らないことを学ぶことの楽しさ、豊かさを
伝えていく姿勢は夏休みに子どもに見せるべき
真の意味で道徳的な内容だなぁと思いました。
闇雲に勉強しろって言うくらいなら本作見た方が良いし、
楓との甘酸な関係は最高に決まってる!図書館萌え!
声を担当するのは広瀬すず!何て日だ!
identityの点でいうと一郎彦というキャラがポイント。
「理想の自分」が否定された時に、
どこへ向かうか?というね〜
あと人間が抱える闇を否定しきらない部分も好感大!
なんでもキレイキレイにしてしまいがちな社会の中で、
闇の先に光があるってことを
ポジティブに伝えてくれるんだから言うことない!
圧巻は熊徹の宗師をかけた闘技場での戦い。
ビジュアルの点でいうと躍動感と大量の群衆で迫力抜群。
さらに冒頭のバトルシーンとの構図の一致、
熊徹が親としての自覚を持ち、
誰かのために生きて戦うことが強いことを示す。
もうガッツポーズするしかない!
終盤の戦いは渋谷の恐ろしいほど解像度の高い再現性に
舌を巻きまくったし、スクランブル交差点での、
クジラを影で見せる演出はかっこよかったなー
そこからのバトルも終始幻想的な佇まい。
闇を受け止めて、それごと消し去るのではなく、
圧倒的なポジティブ、胸の中の刀で戦う姿に
おじさんは勇気をいただきましたよ…
世界は混沌としているかもしれないけれど、
ここまでストレートな映画は2015年に鳴り響く
素晴らしい人間賛歌だと思います。
絶対劇場で見て欲しい作品です!

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