2015年7月31日金曜日

フレンチアルプスで起きたこと



各方面で話題になっていたので見てきました。
(平日の夜の回で満席でした…!)
非日常で起こる出来事の中で取った行動から
大きな事態が巻き起こるという好きなタイプの映画でした。
死が目前に迫ったときに何を大事にするかとか、
どういった行動を取るかというのは
映画見る醍醐味の1つだと思っているんですが、
本作はまさにそこを捉えていると思います。
主人公は夫、妻、娘、息子の4人家族。
スキーリゾートで楽しくバカンスを過ごしている。
眺望の良いレストレランで食事をしていると、
遠くで雪崩が起こり、それがレストランへ迫ってくる。
妻は子どもたちを守るものの、
夫は家族を置いて逃げてしまう。
結局雪崩はレストランの直前で止まり、
家族全員無事だったんですが、
夫、父としての威厳を失ってしまい…というお話。
家族が仲睦まじく4人で写真撮影し、
スキーを楽しむところから始まり、前述の雪崩シーンへ。
基本ワンショットの長回しが多くて、
人物の配置やフォーカスの合わせ方で、
関係性を見せていく手腕は確か。
あとは音楽を含めた音の使い方が秀逸。
ヴィヴァルディの四季の夏という曲が印象的に使われていて、
物語全体の不穏な空気の演出に効果抜群。
(ベタ過ぎて逆に滑稽さも醸し出したりね)
さらに山を爆破する音やリフトの音も
不協和音を奏でまくりで物語の空気が
じんわりと醸成されていく。
夫は雪崩の件を「認識の違い」という、
どこかの国の総理が使いそうな言い訳で
何とか無かったことにしようとする。
妻もせっかくのバカンスを台無しにしたくない気持ちが強く、
大人の対応 a.k.a なし崩しで終わらせようとします。
しかし、妻の怒りは収まらず、スキー場で知り合ったカップルと
部屋飲みしているときに怒りが爆発。
カップルを承認とした裁判が始まる。
カップルの男の方は夫をフォローし、
それに乗っかる夫を見た妻はブチ切れて、
iPhoneで撮影した雪崩の動画を繰り出し、
カップルの前で夫を公開処刑!
このあと夫が1人でソファー座って泣きはらしてるの
悲しいシーンなんだけど、笑ってしまった。
このシーンに限らず、本作では喜劇と悲劇の
ギリギリの境目の演出が多くて、そこも好きでしたね。
(カップルの寝る前のしつこいやり取り)
傷心した夫はカップルの男と2人で
楽しくスキーして楽しんで帰るんだけど、
部屋の鍵がなくて家族に連絡も取れない。
ひたすら部屋の前で待ってたら、
家族がすでに部屋にいたっていう地獄の展開。
耐え切れなくなった夫が取る行動は、
男のもっとも情けない部分なんだけど、どこか愛らしい。
それゆえに敵だったはずの子どもたちも
夫側につき、妻が孤立するという逆転展開も笑えたなぁ。
子ども使いはどのシーンも素晴らしくて、
劇中での大人の欺瞞をクリアにする存在だったり、
大人の不和を嫌がるゆえの行動は切ない。
(ドローン攻撃が最たる例)
そしてラストシーンもまた印象的で、
邪推しちゃえば夫と同様に
子どもを置いて我先に…という見方もできるかな?
横並びのショットがかっこよかったです。
人間のなんとも言えない部分を抽出してるので、
そういうのが好きな人にはオススメ!

0 件のコメント: