2016年1月3日日曜日

罪の手ざわり



某パイセンの一昨年の1位の作品ということで見ました。
中国の市井の人々を主人公にしたオムニバス形式で、
平凡な日常のように見えるその中に、
訪れる暴力が克明に記録されていて
とても興味深い作品でした。
映画をたくさん見ていると殺す/殺されるの
タイミングがある程度分かるようになるんですが、
本作はその映画的なタイミングから抜け出し、
突発的な人間の怒りが暴力として露出するから超怖い。
ただ単にバイオレントなだけではなく、
それが起こるまでの何でも無い生活の描写が
抜群に素晴らしくて実際の事件ベースのお話とはいえ、
各役者の実在感はハンパなきものでした。
僕が好きだったのは強盗稼業の田舎暮らしのおっさんの話と
日雇い労働の若者の話です。
前者はとにかく感情の起伏が見えないにも関わらず、
顔の力とそのたたずまいから放たれる
「こいつはやべえ」感がたまんない!(ブルズのニット帽よ!)
後者はもっと根深い部分というか、
中国の若者の現状を見る意味でも興味深いんだけど、
自ら命を絶つことって意外に簡単だし、
皆が考えているほど、その理由は単純ではないのかも。。
という示唆に納得した次第です。
あと本作は何と言ってもラスト。
映画が持つ「覗き見の構造」を反転させて、
観客側の罪の意識を揺さぶってくるのにヤラれました。
昨年読んだ是枝監督の対談集内も再読すると
本作に対する理解は深まりましたし、
2人の共振っぷりがオモシロかったです。

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