2017年12月21日木曜日

2017年12月 第2回

こないだ「1週」って書いたけど、
10日分書いていたから、正確には第1回だった。

12月11日
仕事中に聞いてたLeftoのmixにGAGLEの新曲が!



曲名は「VantaBlack」
めちゃくちゃかっこ良過ぎて、その部分だけ繰り返し聞いた。
ちなみにVantaBlackは世界で最も黒い物質らしい。
ハープの音がとくにドープ。タクシードライバーを思い出す。
そこそこ残業して帰宅。帰るとChromecastが届いていた。
これまでHDMIケーブルでMacbookとテレビを繋いで、
テレビをディスプレイにしてたけどスイッチ。
Google Home Miniとの連携でTVを声で消せるようになったし、
見たい動画(NETFLIX、Youtube)を声で呼び出すこともできる。
長いタイトルのものは難しい。発音の問題なのか?
キャスト機能がとにかく便利。i
Phone/iPad/Macbookの画面をキャストしてテレビ画面で再生できる。
個人的にはMacのWebブラウザをキャストできる機能が助かる。
こんなことならさっさと買っておけば良かった。。
ただiTunesには対応していないので
ハードディスクにアーカイブしている音楽が聞けないのが難点。
Fire TV StickでYoutube流せない等の
サービスの硬直化が始まっているので、
ユーザー目線の何か(アプリでもハードでもいいけど)が
早く発売されないかと心待ちにしている。
これでNature Remoが届けば、
エアコン/アンプ/ブルーレイレコーダーも
声で制御できるようになるはずなので楽しみ。
ただ1人で家で「オッケーグーグル!」と連呼している姿を
傍から見たら滑稽だろうなと思う。
他にもTyler The CreatorのLP、月刊カドカワの又吉特集も届いて、
週の始めからだいぶ調子いい。

12月12日
朝からピートロックに激似の黒人が
ハーレーで通り過ぎていくのを見て無意味にテンションが上がる。
前日まですっかり忘れてたけど会社の忘年会。
学校設定の居酒屋で「大人になってこんなところで。。」感が強かった。
店員が先生、部屋が教室になっていて、
ため口と敬語を交えた中途半端な店員がいる地獄のような空間。
飯も東京出てきて1番まずいくらいで疲れた。
軽く飲み直して散会。華麗に寝過ごして電車でUターンして戻った。

12月13日
Talib Kwelli「Radio Silence」を聞きながら出勤。



リリックをちょろちょろ見ながら聞いていたけど、
コンシャスラッパーの名に恥じない内容ながら
サウンドは軽やかでそのバランスが好き。
とくにAnderson Paak.との曲がかなりかっこいい。
(ちなみにプロデュースはKaytranada)
午後打ち合わせからの直帰。FD見ながらビーフンを食べる。
歩歩の「俺のYour Shock」っていうラインがオモシロかったし、
FORKは相変わらず堅過ぎてうっとりのため息。
Tyler The CreatorのLPを聞きながらこの日記を書いている。
今回のアルバムはサウンドがとにかく素晴らしくメロウ。
ずっと聞いてられるからインスト欲しい。
決定的レビューはこれだと思うので聞きながら
再度読みなおしーの、歌詞読みーの。

12月14日
そそくさと仕事を終えて退社。
孤独のグルメで紹介されていた長崎飯店で皿うどんを食べた。
昔ながらの中華料理屋といった趣で、
味はもちろん、サーブされるのも早いのでヘビロしたい。
14日はTOHOシネマズが会員1100円なので、
TOHO渋谷で見逃していた「ギフテッド」鑑賞。



「500日のサマー」でおなじみ、マーク・ウェブ監督の作品。
スパイダーマンの監督したり紆余曲折あったけど原点回帰で
素晴らしい作品(ギフト)を届けてくれた。
親子物語で、子どもをどうやって育てるか?
というテーマというのがオモシロかった。
与えられた才能を生かすのが社会の利益になるという建前のもと、
世間から遮断されてしまう悲しさ。
これは天才児の話なのでデフォルメされているけれど、
たとえば自分の息子を公立、私立のどっちに行かせる?
という話に置き換えることもできる。
私立に行かせれば、ある程度似た
社会背景を持った人の中で育つけど、
公立に行けば、もっと多種多様な
社会背景を持った人の中で育つことになる。
果たしてどっちがいいかなんてことは、
どこにも答えがないのだけれど
子どもを持つ人は皆考えることで、
このテーマ設定はオモシロかった。
テーマの部分はさておき、
とにかく娘のメアリーを演じる
マッケンナ・グレイスが死ぬほどかわい過ぎてキュン死。
天才児なのでめちゃくちゃ数学できるんだけど、
他の部分は小学生でしかないという、このギャップにやられてしまう。
(一番好きだったのは近所に住むオクタビア・スペンサーと
ディスコの曲で踊りながら歌うところ)
本人の意思とは無関係に事が進んでいき、
父親を演じるクリス・エバンスとの別れのシーンで涙腺決壊。。
クリス・エバンスはすっかりキャプテン・アメリカの
イメージしかなかったけど、
こういった繊細な役も素晴らしいのでいろいろ見たいところ。
ギフテッドはめちゃくちゃかしこい人の意味なんだけど、
本作ではそれだけではなく生まれてきた事自体が
ギフトなんだという意味も包含している。
その演出がめちゃくちゃ素晴らしくて、
病院行って他人の子供の誕生の瞬間に立ち会う。
つまり生まれた瞬間は誰もが祝福されているということ。
言葉でそんなこと言われても、
「はぁ。そうですね。」と思うだけなんだけど、
物語の展開、もののように扱われるメアリーの立場を
見ているとグッとくるものがあった。

12月15日
録画したいけど予約していなかった
番組があったのですぐに帰宅。
予約は済ませて先輩から勧められた
「カプチーノはお熱いうちに」鑑賞。



Google Homeに「NETFLIXで再生して」
といったら本当に再生が始まりマジで超未来。
この再生方法で良いなと思ったのは、
いろんなバイアスなしでフラットに映画が見れること。
前情報なしで鑑賞することはほとんど不可能に近い中で、
タイトルだけのほぼブラインド鑑賞が可能
(ジャケットおよびサムネイルも見ない)ゆえになのか、
普段見るよりも集中力が上がったし素晴らしい作品だった。
オープニングがめちゃくちゃかっこよくて、もうそれだけで満足。
ワンカットの美学が作品つうじて強く出ているところも好みだし、
本質は恋愛/結婚の話なんだけど、
さりげなく差別の問題を取り入れているところもニクい。
唯一気にかかったのは音楽。
コメディタッチのところで露骨にコメディっぽい曲かけるのはちょっと。。
感動のシーンでエモーショナルな曲かけるのは良いとしても。
とはいえ、それは些細なこと。
時間は有限でYou Live Only Onceなことに
気付かされるナイスな作品だった。
だから、他人から薦められたときに素直に従う大人になりたい。
と切実に思った。


12月16日
だらだら起きて菊地成孔の「粋な夜電波」をタイムシフトで聞く。
通常運転のフリースタイル。
ラジオでも言及されていたけど、仰々しい回よりこっちのほうが好き。
James Brown「Hustle」とAndré-Marie Tala「Hot Koki」の
著作権を巡る話がオモシロかった。
JBの武勇伝はすべらない話。
昼過ぎに「ビジランテ」をテアトル新宿で鑑賞。



入江悠監督最新作。
オリジナル脚本と聞いていたので楽しみにしていた。
地方閉塞社会の系譜に連なる映画なんだけど、
おもいっきりノワールに振り切っていて
重い仕上がりになっていた。
(家族のいざこざのレベルは、野村芳太郎の作品群に匹敵する)
起伏が少なく退屈に思えてしまう瞬間もしばしばあった。
それは入江監督のワンショットでの間を取った撮り方の影響もあるのかな。
こういった作品を見ると改めて韓国映画のレベルの高さが
逆説的に際立ってしまうことは悲しい瞬間。
家族/土地に紐づく因果関係がもたらす地獄が
これでもかと見せつけられ、
タイトルどおり、その因果関係に第三者を介することなく
ビジランテ(自警もしくは私的リンチ)していく。
いまや誰でも意見を世界に発信できる情報化社会で、
ビジランテがどんどん増殖する傾向が以前よりも
強まっていることは明らかだ。
しかし、本作では情報化社会が原因というよりも、
もともと日本社会ってそういう風潮があって、
それが加速しているだけなのでは?
ということが本作からは伝わってきた。
まともな人間は1人も登場しないので、
感情移入できないという人もいるかもしれないけど、
人間は誰しもダークサイドがあるわけで、
そこを刺激されて「自分ならどうする?」と考えざるを得ない。
キャスティングがすばらしく、
主演の大森南朋×桐谷健太×鈴木浩介。
タイプの異なる3人が兄弟という中で、
お互いの利害をガリガリ削りあう様が壮絶だった。
ヒップホップ好きしては般若のことは見逃せない。
前に出たゾンビ映画は見ていないけど、
ヤクザ(半グレ?)がとても板についていたし、
作品内で一番尖っているくらいの勢い。
 彼の存在感があまりに強く、大森南朋を巡って
敵対する横浜の取立屋が嘘っぽく見えてしまうくらい。
顔力は抜群なので、もっと繊細な役とかでハネれば、
役者として活躍しそうな予感がするので楽しみ。
ディスクユニオンのクラブミュージックショップへ行って
いろいろ欲しくなるものの、ILLSUGI&CRAMのテープだけ買った。
最近のビートメイカーの中だとCRAMが一番好きかも。
家に帰って昨日録画していたスターウォーズの前作を見る。
改めて見てもオモシロい映画だなーと思い、
翌日の最後のジェダイを楽しみにしつつ早めに就寝。

12月17日
早起きして新宿ピカデリーで
「スターウォーズ 最後のジェダイ」を鑑賞。



フォースの覚醒を予習して楽しみしていたのだけど、
これはちょっと。。。という仕上がりで残念だった。
あまりにも物語が停滞する時間が長く、
それを我慢できる仕掛けも用意されていないので、
楽しい時間がやってくるのを待つのがしんどい。
前作ではカイロレンが中二病と揶揄されるぐらい
うじうじしていた一方で、
若い力のレイとフィンが躍動していて、
その対比がオモシロかったと思う。
一方で本作はウジウジする人間がもう1人増えて、
それがルークというところが見ていて辛かった。
光と闇のうじうじ師弟対決という様相を呈していて、
誰が見たいんだよと思わざるを得ない。
物語を推進する力を担っていればいいんだけど、
 なかなか全容が分からない中でうじうじされるのは辛い。
たとえるなら、「悩みがあって。。。」
と先輩友人等に話をされるものの、
その悩みの全体像がまったく分からないみたいな。
スターウォーズシリーズに思い入れがあって、
その仔細な部分まで把握したい人にとっては
楽しいのかもしれないけど
 映画のエンターテイメント性は減ってしまっていると思う。
あとはフォースの概念を抜本的に変えてしまっている点で、
罪深い作品と後世評価されるかもしれない。
もはや何でもありになっていて、
レイア姫の宇宙船への「あの帰還は絶対ダメでしょ!」
 (たとえフォースがジェダイ個人ではなく
自然にあるものだというフリがあったとしても。)
 戦闘シーンは楽しいので、
もっとその分量多くすれば良かったのにと思う。
文句ばっかり書いたけど、皆でガチャガチャ言い合うのも、
このサーガが楽しいところなので
十分に楽しめているのかもしれない。
有楽町に移動してナイルレストランでカレーを食べた。
東京のカレー屋の定番中の定番ながら
初めて食べたけど美味しかった。
そのまま東京国際フォーラムで、
ウーマンラッシュアワー村本の単独ライブへ。
誘われるがままに見たんだけどオモシロかった。
自己啓発セミナー、宗教色さえ漂わせるきな臭さと
お笑いの境界線にいるオモシロさ。
劇場原理主義者としてのお笑いへの異常なまでの情熱と、
社会を風刺できてこその芸人としての矜持。
多様性への言及、「普通」への疑問の話は共感する点も多々あり。
アメリカのスタンダップコメディアンを目指しているらしいので、
どうなるのか楽しみなところ。
17時半までのはずが延長戦で18時ギリギリ。
有楽町を駆け抜けてスバル座で「花筐」鑑賞。



本作にまつわるNHKのドキュメンタリーを以前に見て、
 大林監督が癌を患っていて、
これが遺作になるやもと思ったときから
絶対劇場で見ようと心に決めていた。
 死が近づいたこともあるのか、
戦争、青春、愛といった 概念が塊になって
スクリーンに吐き出されたような作品で初めて体験する感覚。
年をとればとるほど先鋭化していく
大林監督の生き様が焼き付けられていた。
青春の中における愛と死の濃厚な匂いが
見ていてむせ返るレベルで、
それがバキバキのCGと共に語られているのが凄まじい。
本作では直接的な戦争描写がない代わりなのか、
「血」の描写が繰り返し登場し不吉さが終盤にかけて
どんどん増していくところが怖くさえあった。
「パーティーで彼女に話しかけるには」と同様、
脳内でこんなイメージが作られていることに驚く。
ドキュメンタリーでは戦争に向かうような時代の空気に対して
危機感を抱いていると話していた。
ダイレクトに、そして理詰めで反戦を訴えるのではなく、
あくまで感覚の部分で勝負しようとしている姿勢は
すべての芸術家にとって参考になるような気がする。
(もちろん観客側も大いに影響を
受けてしまう部分はあるんだけど)
主人公の男の子を窪塚俊介が演じていて、
彼がずーっと陽気なのが怖い。
周りがmadness全開なのに彼だけはずっと楽観的。
彼らの身にふりかかる戦火を知っている観客は、
その楽観的な姿勢が命取りになってしまう可能性を知っている。
そして、彼は戦前を生きているかもしれない観客の姿かもしれない。
なんてことを考えるとますます震える。
周りを固める役者陣も素晴らしくて、
長塚圭史なんてシャブやってるでしょ、
と言いたくなるくらいに不気味だし、
満島真之介の底の知れなさも素晴らしかった。
お姉さんだけじゃないぞと言わんばかりに。
女性陣は常磐貴子、山崎紘菜といった
前作からのなじみのメンツも素晴らしかったんだけど、
門脇麦が別格だったと思う。
影のある役が似合うのは然ることながら、
歌声がめちゃくちゃ好きだった。
ナミヤ雑貨店という映画の主題歌である
ヤマタツの曲を彼女が歌ったのも聞いたけど、
そっちもかなり好きだった。
とにかくこの作品は見ておいた方がいい。

12月18日
作ったお弁当を家に忘れるという愚行に朝からテン下げ。
「ミズーラ」を行き帰りの電車で読了。



いとうせいこう、武田砂鉄といった好きな人達が
一様にプッシュしていたので読んでみたけど、かなりオモシロかった。
というのも日本でもタイムリーなテーマを題材にしているから。
そのテーマというのはレイプ。
本作はアメリカのモンタナ州で起こったレイプ事件を
徹底的に取材したノンフィクションで、
裁判の様子、捜査の過程などがつぶさに説明されており、
強姦罪の摘発の難しさが身にしみるほど分かった。
日本ではジャーナリストの山口敬之が伊藤詩織をレイプしたとして、
起訴されそうになるものの、
直前で逮捕取りやめになってしまったことは
記憶に新しいだろう。現在、民事裁判が進行中。
彼女が顔を出して被害を訴えたときに
ネットを中心とした反応は
この本で書かれているのと全く同じようなことだったと思う。
レイプする男ではなく、レイプされる女性側に
問題があるとするレイプ神話は国を超えて存在し、
まだまだ根強いことを目の当たりにすると頭が痛くなる。
本作では、そういった神話に対して
これまで蓄積されたデータ、論文を元に
読者が思うレイプ犯、レイプ被害者の実像をひっくり返していく。
しかも、それを裁判の過程を紹介しながら説明してくれるので、
とても具体的で分かりやすいし、なおかつアメリカは陪審制度なので、
まるで自らが陪審員であるような気持ちになる。
なので、400ページと分厚いんだけどするすると読むことができた。
このまま、伊藤詩織「Black Box」を読もうか、読まないか思案中。
なお、これ読んでいる人で被害者に
懐疑的な気持ちを持っている人は以下リンクを読んでみて欲しい。
http://wezz-y.com/archives/50723

今年のベストが色んなメディアを賑わしている時期なんだけど、
以下リンクのベスト10の最後にある、
「来年は「日本映画が1本もないベスト10」とならないことを願っている。」
という文言に寒気がした。
http://realsound.jp/movie/2017/12/post-140156.html

自分のさじ加減でランキングしてんのに、
上から目線で偉そうなことよく言えるなぁと。
こんな大人になりたくないからレビューというより、
どこが好きだったのか、感動したのかを書きたくて
日記にした、というところもあり。
(「てめーも似たようなもんだろ」ということは重々理解しているから)
帰ってから録画のTV番組を消化しつつ
借りて来たCDをリッピングしてダラダラして寝た。

12月19日
別冊カドカワの又吉特集が
超オモシロくてページをめくる手が止まらない中で出勤。
会社の人から磯部涼の昔の本を貸してもらってウハウハ。
最新作「川崎」は品薄っぽいので先に過去作を読んでしまいたい。
「マギーズプラン」を見ながら寝落ち。

12月20日
打ち合わせ→飲み会で1日があっという間に終わった。
芋焼酎が美味しかった。そして電車で寝過ごさなかった。

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