2017年12月13日水曜日

2017年12月 第1週

1ヶ月単位だとページが重くなったので1週単位としてみた。

12月1日
映画の日なので何か見ようかと思ったけど
お目当てのチケットは売り切れでとぼとぼ帰宅。
「社会学者がニューヨークの地下経済に潜入してみた」読了。


社会学者がニューヨークの地下経済に潜入してみた
スディール ヴェンカテッシュ
東洋経済新報社
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タイトルどおり、社会学の調査として
NYのアングラ世界に学者が潜入取材した1冊で
めちゃくちゃオモシロかった。
前作の「ヤバい社会学」ではシカゴのギャングの生態を
描いていた手だれの著者でもNYでは様々な人に翻弄される。
「地下経済」という言葉を聞くと有色人種の貧困層が
担っているというイメージを持つかもしれないが、
本書はそんな先入観を粉々に打ち砕く事実が
たくさん盛り込まれている。
有名大学を出た裕福な白人の女の子が売春をしていたり、
それを買うのはウォール街の
エリートサラリーマンだったりすることに驚いた。
グローバル化が急速に進み商売においては
様々な境界が曖昧になる中でも人種の壁はとても分厚い。
同じ売春という商売を生業にしていたとしても質が異なるし、
これまで立ちんぼだった人間が高級サラリーマンに
刺さるような内容を提供できることはない。
それには文化的な資本が欠落していることを著者は指摘していた。
一朝一夕で身に付かないものが個人を規定し社会が硬直する。
一方でNYではアメリカンドリームが目に見えるところで
実現しているのだからいたたまれない。
また、NYにおいては土地との結びつきはなかなか見えづらく、
原題に含まれている「FLOAT」日本語でいう「たゆたう」ことの
必要性がしきりに主張されている。
個人プレイでは成り立たずオーバーグラウンド、
アンダーグラウンドを問わない街中に張り巡らされた
ネットワークをいかに上手く活用できるかが成功の鍵を握っている。
NYの知られざる実情の数々に驚きながら
東京でも当てはまる部分があるなと感じた。
この作品がさらに特別なのは客観的事実と主観が
交錯しているところにある。
10年に渡る潜入取材で著者の私生活も
波瀾万丈な状態でそれも赤裸々に語られているところがオモシロい。
これは前作の「ヤバい社会学」にも通ずる点だ。
前作では終盤かなりエモーショナルな展開があったが、
今回は著者の生活が荒みに荒んでいることもあり極めてドライで、
それが都会が産み出す人間なのかもしれないなんてことも思ったりした。
「脱獄広島死刑囚」を見る。


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最近NETFLIXの東映ヤクザ映画が充実し始めたのか、
この作品もNETFLIXで見た(実録私設銀座警察まであった!)
松方弘樹がひたすら脱獄しまくる、
めちゃくちゃオモシロい映画だった。
日本の脱獄映画でベストかも(てか日本の脱獄映画って他にあるのか)
無軌道な乱暴者っぷりが本当に最高で、
これまで見た松方弘樹の最凶な気がする。
脱獄って普通1度きりで、
そのチャンスをどう生かすかが見所だと思うんだけど、
本作では何回も脱獄するという想像を上回る展開。
KUFUをこらした脱獄がオモシロかった。
ラストの大根かじる松方弘樹にサムアップ。
松方弘樹も渡瀬恒彦も今年亡くなってしまったことが
未だに信じられない。残されたものは映画で彼らの生きた姿を
見れる喜びを噛み締めないといけない。

12月2日
11時に起床してスーパーの朝市で買い出し。
ハライチのラジオをタイムシフトで聞きながら。
まるで戦場のようになっていて疲れた。その後は図書館へ。
最近、図書館内で特集が組まれるようになっていて、
こないだ来たときは「80's」でテンション上がったんだけど
今回は「追悼」でよくわからなかった。
公園の中に図書館があるので公園内の紅葉を楽しみつつ帰宅。
「トゥルーストーリー」を鑑賞。



ジェームズ・フランコ×ジョナ・ヒルのサスペンス。
信頼と実績のFOX SEARCHLIGHTだったので
かなり期待して見たけど少し食い足りなかった。
1度嘘をつくと泥沼にはまってしまうことを、
家族殺しの殺人犯と、取材する記者で描いていく。
誰が本当のことを言っているか分からない
サスペンスはすべてが謎の状態である前半はだいたいオモシロい。
本作もジェームズ・フランコの底の見えなさが良いのだけど、
風呂敷広げた割に彼が犯人であると断定していく流れが弱かったと思う。
あと記者がデマ記事を用意したという設定を活かして、
終盤もう少し展開あっても良かったかな?
いかんせん実話らしいので、そこまでできなかったんだろうけど。
これを見ると「ゴーン・ガール」は傑作だなと改めて思う。

12月3日
有明くんだりまでファミリセールへ。
最終日でメンズコーナーも小さくシケシケ。
いつ履くねんなスウェードのパンツだけ購入。
会場のビル内にあるインド料理屋で昼食を取った。
1200円でビュッフェ形式で美味しいしかなりCPよかった。
しかも店員さんがかなりご機嫌で、
2名と言うと満面の笑みで2名をダブルピースで
表現しながら案内しててオモシロかった。
お台場が近かったので歩いて移動してる最中に
コスプレ撮影会に遭遇。大量のコスプレイヤーと
カメラ小僧がいて磁場が歪んでた。
どういうシステムなのか分からないけど
ソフト風俗のようなものという偏見にまみれた断定をしておく。
冬の服が全然ないのでニット買って帰宅。
最寄駅につくと自転車に乗った力士に
子連れのおばちゃんがすごい勢いで詰め寄っていた。
近所に相撲部屋があるので
コンビニで買い食いしている力士とかたまに遭遇する。
話の内容まで聞こえなかったけど、
このご時世からするとビール瓶まわりのことだろう。
力士の神妙な面持ちが忘れられない。
夜はM-1を大量のCMと共に見た。
この時代にBENIが「恋人がサンタクロース」をカバーした上に、
その曲がコンビニのCMに流れる意味について考えさせられた。
答えは出ていない。
とろサーモンの優勝には目頭が熱くならざるを得ない
同年代の大阪出身の人も多いと思う。
さらにNETFLIX版の「火花」を見ている身からすると
村田が演じた神谷の相方である大林をオーバーラップせざるを得ず、
現実とフィクションを混同しさらに目頭が熱くなる。
どのネタもオモシロかったけれど、
ネタの順番/くじ運/審査員等の複数の要素が絡み合うところが
この漫才賞レースの醍醐味だ。
和牛の1本目と2本目が逆だったら?
ジャルジャルが中盤だったら?(ユニバース然り)
たらればを言い始めるとキリがないんだけど、
そこを妄想するのもまた一興。
東京にいると漫才はほとんど見る機会がない。
土曜とか日曜の昼間にTVをなんとなくつけて、
そこで漫才が見れる環境が羨ましくなるなんて当時は思いもしなかった。
その点で大阪がどれほど恵まれている環境なのか離れて身に沁みる。

12月4日
楽天スーパーセールでGoogle Home miniが半額になってたので発注。
さらにリモコンハブとなるNature Remoも発注。
これで家電を声で操作する夢の世界がやってくるぜ。
月初は忙しいので、そこそこ残業。
帰宅して日本語ラップミックスを修正/追加し、とりあえず完成。
なるべくたくさんのMCを入れることができたし、
今年1位これだなとか作りながら決まっていった感じ。
バウンス中に日記を描いている深夜1時。

12月5日
昨日作ったミックスを聞きながら出勤。自分の好きな曲だけだから
当たり前なんだけどめっちゃいい。いや、めっちゃいいわ。
と首振りながら朝のカオティックな道玄坂を歩いた。
仕事をそそくさと終えて新宿へ。
恒例の映画前カレーでモンスナックへ。カツカレー。
オーダー時に自分で申告すれば、
コーンサラダがついてくるというシステムなんだけど、
いつも店員のプレッシャーに負けて言えない。
「本当に食うのか?コーンサラダをよぉ」と目で
訴えかけられている気がしてしまう。お客の忖度待ち。
なんだけど今日は意を決してオーダーしてみたら美味しかったので、
これから勇気を絞って必ず頼みたい。
新宿ピカデリーで「パーティーで彼女に話しかけるには」鑑賞。



タイトルと予告から甘酸案件であることは嗅ぎつけていたけど、
想像をはるかに上回る設定/物語/ヴィジュアル/音楽で
完全に虜になってしまった。下半期最重要作品だと思う。
原作がどこまでの設定を規定しているのか、
読んでいないので分からないけど、
このヴィジュアルを脳内に描いてしまう才能は本当にすごいし,
映画でしか成立しない芸術だと思う。
結構スローモーションが使われてて、
なのにfps(frame per second)がめちゃめちゃ低くて、
カラオケの再現VTRレベルの映像。
だけど他の要件が付随することでめちゃくちゃドラマティックに
かっこよく見えるんだから映画は不思議なものだ。
これまで音楽としてのパンクがどうにも好きになれなかったけれど、
本作で流れる曲はどれもかっこよかった。
とくに中盤で主人公2人が主人公で歌うシーンは最高最高で、
アシッドとパンクの素敵なマリアージュが展開されていた。
(しかもそれが受精を伴うSEXになっているというオマケつき!)
カルト教団風の宇宙人たちの言動、ヴィジュアルも逐一オモシロい。
地球人を先取りしたような存在なんだけど、
彼らが持続可能な社会の結論として、メタファーではなく
文字通り子どもを食い物にするという選択をしていて
ディストピアな香りを漂わせてた。
(Anal f*ckによる取り込みとかも最高)
現実にありそうなライン/ブッとんでるラインは
表裏一体ということはよくある話とは思うけど、
ここまで納得させられる表裏一体感もそうそう見つからない気がする。
このニュアンスは見てもらわないとなかなか伝わらない。
甘酸案件としてもエル・ファニングなので
当然担保されていてキュンキュンしまくり。
男の子役のアレックス・シャープはNETFLIXの
心のカルテ」でも好演していたのが記憶に新しく、
エモーショナルな演技が素晴らしかった。
保守からの逸脱をパンクとすれば、
大人たちが壊した世界(保守)を変えるのはパンクだといった内容で
啖呵を切るところはウルルだった。
パンクというコロニーから届けられるラブに打ちのめされて欲しい。
本作の監督であるジョン・キャメロン・ミッチェルの
「ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」は某先輩から
10年前ほどからオススメされていたんだけど、
ずっとスルーしてしまっていたので早急に見なければ。
久々にパンフレットも買った。
(各コロニーの具体的な説明と
ブレディみかこのコラムだけで買う価値あり)
後輩と軽く連絡とってミックスの話を少し。
曲単位/アルバム単位で聞いてピンと来なくても、
ある流れに沿って聞くと途端に響き方が変わってくることを
ミックスで感じるなんていう真面目な話をした。

12月6日
午前打ち合わせ。戻ってやるべきことやって帰宅。
鶏のトマト煮込みを作りながら、
菊地成孔「粋な夜電波」をタイムシフト視聴。
今週も先週に引き続きNY特集。
全編芝居がかった回でHIPHOPの話が多くオモシロかった。
JAZZ DOMMUNISTERSが改めて紹介されていて、
今年出たアルバムで1番好きな曲「革命」がかかって嬉しかった。
ミックス作りながら今年何が良かったか?を色々考えていたけれど、
JAZZ DOMMUNISTERSは一番好きかも。
頭に詰め込まれている膨大なインプットから出てくる
アウトプットのオモシロさを感じるグループだ。
いかにバズを起こすか?という現在のトレンドから
10億光年遠くにいるかもしれないが、
アルバムで世界観を作り上げ、トピックの角度で
勝負するラッパーをもっと聞きたいし見たいな。
と、これを書きながら聞いているNERO IMAIがめちゃかっこいい~

12月7日
朝の準備をしながら「たまむすび」の特別配信、
大吉さんのM-1好評を聞く。



なるほどーと思うことがたくさんあってオモシロかった。
とくに和牛のネタ順は言われてみれば。。な話だった。
休憩中に何気なくメール見てたら
Jordan Rakeiのメルマガが届いてて、
れが近況報告みたいなので超オモシロい。
Willow Smithの新譜が良かったと言っていて
1回流し聞いただけなので、もう一度聞こうと思う。
(弟であるJaden Smith「IKON」は賛否両論あると思われますが、
僕はかなり好きです。サウンドのバリエーションが素晴らしい。)
それよりも何よりも「音楽以外の発見」として
tofu presserのアマゾンのサイト貼ってて
ビックリしてしまった→リンク
まず何だそれって話なんだけど、水分抜いてドレッシングとか
調味料が染みやすくする機械らしい。
「豆腐 プレッサー」でググっても日本の製品出てこないから
海外特有のニーズなんだろうか。
日本だと絹/木綿でなんとなく水分量を
イメージして買うから関係ないのかな。
という心底どうでもいいことを考えて仕事をしていた。
ビルボード来るみたいなので行くかどうか検討中。
あとピーマンズスタンダードの保活ブログが超オモシロい。
https://ameblo.jp/sminamikawa/
「修羅」という言葉のチョイスと使い方がたまらない。
ふざけてるようだけど中身は保育の現状というシリアスな話。
無償化よりも全入化のほうが必要なのでは?
ということが机上の空論ではなくグサグサ刺さる。
仕事中に聞いたPyram Organics
「Niseko Vibes - Winter Mix 2017」 がめちゃめちゃ良かった。



MFPさんが選曲してるのかな?
ジャンルと時代を横断した、何でもござれなんだけど
筋がビシーっと通っている感じ。
かっこいい音楽を知っている大人に憧れる。(逆に知らない奴は…)
今回のミックスですべての季節がアップロードされたので、
それぞれの季節の始まりに聞きたい。
夜は会社の人と飲みに。人生イロイロ会社もイロイロ。
終電ギリギリでおしっこ我慢して帰宅して膀胱破裂するかと思った。

12月8日
きつめの二日酔いで起床。最寄り駅に着くと見たことのない大量の人で
電車遅延のようだった。電車遅延のときの殺伐とした空気は
独特で口には出さないけど憎しみがそこら中に
立ち込めている気がいつもする。
(実際に駅員にハードクレームする人もいるわけだが)
 みんなそんなに早く会社に着いて働きたいのか?
僕は逆に大手を振って遅刻できる、ラッキ~と思ったりする。
実際その日も盛大に30分遅刻した。
PJ MortonとDARKHOUSE FAMILYが仕事中のお供。



PJ Morton、名前は知っていたけど、マルーン5のメンバーなんだ!
っていう浅い知識のもと聞いてみると、
超ソウルフルであたたか~いサウンドが心地よい。
スティービーワンダーを想起(エレピ?)ラストのカバーも良い。



DARKHOUSE FAMILYはしっかりしたブレイクビーツが
とにかくかっこいい。生ドラムなのか、打ち込みなのか
分からないレベルでHIPHOP育ちとしては落ち着くビート群。
日本だとSTUTSがこの辺のサウンドを引っ張っているところで
世界的に90年代回帰が進んでいるので時代にマッチしたサウンドだと思う。
定時に退社してRyohu Blur リリースパーティへ。
ミュージシャンシップ全開の素晴らしいライブだった。
HIPHOPの野蛮でラウドなサウンドも勿論好きなんだけど、
この日のライブは美しさと野蛮さのバランスがとても良かった。
野蛮さという観点でいえばKANDYTOWNの面々が
客演で参加していたと曲が体現していたように思う。
DONY JOINT「Good Times」IO「Mood Blue」
MUDを迎えての「Forever Remix」どれも素晴らしかった。
とくにIOのところは、「All In One」からの流れで
サックスソロからの持っていき方がシビれた。
ただこの日の観客はHIPHOPというより
Ryohuが好きな人が多かったようで、
メロディアスな曲の方が盛り上がっていた。
オープニングアクトのSIMILABのバンドメンバーが
とても豪華でキーボードはampelから河原太朗、
ドラムはyahyelの大井一彌 、サックス兼ギターはMelraw、
ベースは踊Foot WorksのSunBalkan、
コーラスにAAAMYYY。
Ryohuを含めて新世代の才能が
集っているのだから最高に決まってる。
このライブではHIPHOPがリズム隊の音楽だなーと
改めて思い直すくらいにドラムが好きだった。
(硬めの音と展開のつけ方がとくに最高)
アンコールではSIMILABの面々登場し、
21世紀のBBOYイズムだと勝手に決めつけている
「UNCOMMON」をまさかのバンドアレンジで!
 SIMILAB前期派としてはアガりまくった。
バンド体制で再びライブがあるなら是非行きたい。
お土産にもらったテープを家で聞いてみるとハウスのミックスで、
しかもめちゃくちゃインダストリアルでビックリした。
(ミックスの最後に一応曲入ってたけど)
オシャレな音楽として見られるかもしれない中で、
その枠を超えたネクストステージにいる気がする。
疲れたので死んだように即寝。

12月9日
寒くて9時半ごろに起床。
シャワー浴びてハライチのターン過去回聞きながら家事。
あと半分くらいしか残っていなくて寂しい。
スーツをクリーニングに出して、
その足でホットモットでのり弁と豚汁を買った。
たまーに無償に食べたくなる極私的ジャンキー飯。
とか言ってたらGoogle Home Miniが届いた。
毎回「オッケーグーグル」(もしくは「ねぇグーグル」)
と言わないと聞き取ってもらえないところが少し面倒だけど、
生活のちょっとしたことに対する
アシストしてもらえるだけでかなり便利に感じる。
(天気、タイマーなど)個人的にはラジオが超便利!
radiko開いて云々みたいなステップが
全部排除されて声一発で聞ける。
せっかくだし!という気持ちでChrome Castも追加発注。
全然外出たくなくて菊地成孔「スペインの宇宙食」読了。



スペインの宇宙食 (小学館文庫)
菊地 成孔
小学館
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2003年に書かれたものなんだけど、
インスパイアされたもの、考え方、料理との距離感など、
かなり踏み込んだ内容で興味深く、
今年はラジオ、JAZZ DOMMUNISTERS含めて
個人的に菊地成孔YEARで、
その締めにふさわしいような作品だった。
エッセイ集なんだけど、彼の膨大なインプットの
一端を知ることができるし、虚実の境界が明瞭なようで、
明瞭でないところもオモシロかった。
(小説とエッセイが混じり合っているのも一因だろう)
無類の日記文学好きとしては、
ほとんど日記のような内容だし
実際終盤に料理にまつわる日記が書いているところも嬉しかった。
菊地成孔のこと毛嫌いしている人も多いと思うけど、
この炸裂した文体/内容は唯一無二。麻薬のような文体だと思う。
しかも、この本に掲載されている文章を書いているときに
彼は神経症を患っており、それを紛らわすかのように
ワーカホリックに自らを追い込み、
その結果がこの文章に現れているとも言っている。
つまり一種のハイパーモードの残渣な訳で、
そんなものオモシロいに決まってるでしょって話。
八本脚の蝶」に近いところがあった。
(あっちは最悪の結果だが…)
文庫版のあとがきがよしもとばななというのも驚いた。
彼女がこの本を小説として読みながら
「人生の悲痛な苦闘の記録以外のなにものでもない」
と書いていたことに納得。
華やかさの影に見える孤独は深く見えるものだ。
コーヒー豆がなくなったので近所のコーヒー屋さんへ。
NENE「NENE」聞きながら。ゆるくてイイ感じ。
ライブ行っちゃおかなー



最近通っているこのお店は家族経営のナイスなローカルショップ。
お父さんがブラジルで現地の農家と撮った写真がたくさん飾っている。
ハウスブレンドと月変わりの豆を買った。
お店を出るときに、「お気をつけて」といつも言ってくれるのが
新鮮で嬉しかったりする。
黒沢清監督のドキュメンタリーを
NETFLIXで見つけてソッコーで鑑賞。



アカルイミライ」を撮影したときのドキュメンタリー。
去年見たばっかりだったけど、
かなりアブストラクトな内容でふわーっとした気持ちになったことは
覚えていたんだけど、監督が見ているヴィジョンは
また違うところにあってオモシロかった。
(まさか「ダーティーハリー」や「北国の帝王」をイメージしてたとは。。)
印象的な話は「映画とは?」って問いに対して、
「不特定多数の人間と一緒に見ることの必要性」を説いていて、
つまり自分は笑えたけど他人は笑ってないといった
自分の社会におけるスタンスが可視化されるのであると。
あと心理戦を描くことにそこまで興味を持ってなくて、
あくまで肉体戦だということを強調していた。
だから体全体が映るワンショットを多用するのかもしれない。
(カットを割れば俳優の可動領域は減っていく)
ジャンル映画との距離感もオモシロくて、
ジャンル映画の方が色を出しやすい、
それはジャンルというルールの中で、
どういった逸脱を見せるかで作家性が発揮できるから。
逆に「アカルイミライ」はオリジナル脚本だから大変だったそうだ。
黒沢監督の作品はまだまだ見れてないものあるので、
どんどん見ていきたいし本が出てるのでそれも読まねば。
隙間の時間を見つけて少しずつ見ていた
「ゴーイングマイホーム」を見終える。


ゴーイング マイ ホーム Blu-ray BOX
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2012年放送で震災のことがモロに反映されていたから、
リアルタイムで見ておきたかったと後悔した。
是枝監督作品における阿部寛が演じる父親は
いつもどこか情けないがその完璧ではない姿が心にグッとくる。
カメラワークや細かい演出は並のTVドラマとは
明らかに一線を画していて、
彼がNETFLIXでドラマを撮れば。。と思わずにはいられない。
作品内で繰り返し出てくる、「後悔とはそこに愛があった証だ」
という言葉は胸に刻んでおきたい。

12月10日
早起きして国立新美術館で「安藤忠雄展:挑戦」を見てきた。
オープンと同時ぐらいに行ったけど、すでにめちゃめちゃ混んでた。
安藤忠雄は大阪の建築家で個人の家を含めて
多くの作品が大阪にある訳だけど1つも行ったことがない。
ぐらいのゴリゴリのにわかなんだけど、
原寸大の光の教会見れて楽しかった。
忠雄といえばコンクリ打ちっぱなしの印象が一番強くて、
実際多くの作品がコンクリの特性がバキバキに発揮されてて超かっこいい。
自宅を作ってもらった人のコメントがいくつかあって、
皆が一様に「住みにくい」とか「冬寒すぎる」って言っていて、
忠雄は「住みこなすことも必要だ」みたいなこと言っていて、
そのギャップがオモシロかった。
当然、光の教会は大迫力で満足するという訳ではなく
逆に現地に行ってみたい気持ちになった。
世界の第一線を走っているのでアイデアは
すべて採用されているものかと思いきや、別にそんなこともない。
厳しい世界なんだなーと。
そんな中でアイデアを出し続けているストイックさも伺い知れた。
近くのタイ料理屋でカオソーイ食べーの
ブルーボトルでコーヒー飲んだ。
丁寧にドリップしてもらったコーヒーは美味しい。
(清澄白河は激混みだけど六本木はガラガラですよ、奥さん)
ちなみにブルーボトルの創始者が日本のハンドドリップに感動して、
アメリカで導入、成功してから、それを逆輸入して
純喫茶を駆逐してしまうという話、かなり好き。
再び美術館に戻って新海誠展へ。
先日「君の名は。」を見たばっかりだったのでビビッドに刺さった。
新海誠という人がどういう人で、
これまでの作品をどうやって作ってきたかが手に取るように分かる展示。
一方でマニアックスも楽しめそうな
ディテールの話もたくさんあって楽しめた。
最初に1人でPCで作ったアニメーションからの
進化っぷりが凄まじかった。
彼の中には統一されたヴィジョン、
失われた記憶、すれ違いなどがあるようなので
全部の作品を見てみたくなる。
あと展示の最後の彼の言葉にあったけど、
アニメは決して監督1人のものではなく
チームとしての作品なんだということをよく理解できた。
帰りに牛角で焼肉食べてから帰って「言の葉の庭」を見た。
雨が待ち遠しくなるという設定が好きだったし、
リアリティのある話ゆえに街並の美しさがとても活きる。
次は秒速5センチメートルでも見ようかな。

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